<高校野球群馬大会:館林商工5-2利根実>◇18日◇1回戦◇高崎城南球場

試合の裏に、高校野球ならではのドラマがあります。「心の栄冠」と題し、随時紹介します。

   ◇   ◇   ◇

亡き友にささげる一打だ。館林商工(群馬)の坪田尚弥主将(3年)が4回2死一、二塁から左前に先制打。「涙が出るほどうれしかった」と笑顔を見せた。

多々良中学2年の時、チームメートが急死した。斎川潤也さん(享年14)は野球部の部活の休憩中、突然倒れ、そのまま帰らぬ人となった。持病もなかった友人の突然の死に、坪田は「だいぶメンタルに来てた。カウンセリングとかも受けていた」と苦悩した。この時から「自分のできることを考えて、人を助ける仕事に就きたいと思った」と救急救命士になることが将来の夢になった。

大事にしているタオルがある。斎川さんの母が作った赤いタオル。「夢に向かって きっと叶う Junya」という文字と、斎川さんの中学時代の背番号「7」がプリントされている。くしくも、今大会で坪田が背負う番号も「7」。「これを持っていれば、一緒に戦っている気持ちになれる」と力に変えた。

キャプテンの思いは、きっと天国の斎川さんにも届いている。そして笑顔でこう言っているだろう。「尚弥、ナイスバッティング!」。【小早川宗一郎】