<高校野球栃木大会:佐野日大1-0鹿沼>◇19日◇1回戦◇栃木県総合運動公園野球場

試合の裏に、高校野球ならではのドラマがあります。「心の栄冠」と題し、随時紹介します。

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栃木県高野連登録の3年生でただ1人の女子選手、鹿沼の木村百伽内野手(3年)が佐野日大戦で始球式を行った。「笑顔で構えてくれたので、投げやすかったです。ストライクが入って良かった」と安心した様子で笑った。17日の練習後、舞台を用意してもらったことを知った。わがことのようにサプライズを喜んでくれた仲間たち。緊張もあったが、投げるうれしさが勝った。

鹿沼北中野球部で県大会優勝。県女子の選抜選手に選ばれ、4番三塁で全国大会にも出場した。規定により、高校では公式戦に出場できない。承知の上で入部し「チームメートとワイワイしながら、練習したり試合に出ることがうれしい」と大好きな野球に打ち込んだ。

励まされながら男子と同じメニューをやり遂げると、粋なマウンドが待っていた。最後の試合は強豪に0-1で惜敗。ベンチ裏でみんなの頑張りを見届けた。「仲間には感謝しかないです」と涙を流して言葉を詰まらせ、最後にまた、笑顔を見せた。【沢田直人】