甲子園初出場の具志川商(沖縄)が八戸西(青森)との21世紀枠対決を11安打8得点の猛攻で制した。エース福島蓮投手(3年)を攻略し、5回5失点KO。プロ注目の189センチ右腕を「丸裸」にしたのは山城来(らい)マネジャー(3年)だ。脳性まひで車椅子に乗る生活を送るなか、配球の傾向などを分析し、ナインに伝えた。福岡大大濠は昨秋九州大会決勝の再現となった大崎(長崎)戦でリベンジ。明豊(大分)は11回サヨナラで初戦を突破した。

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スピーカーから島唄が流れ、指笛も響く。甲子園は具志川商の独壇場になった。プロ注目でマウンドにそびえる189センチの福島と対しても冷静になれた。心で唱え続けた言葉があった。

「追い込んだときスプリット、フォーク、縦系の変化が多いよ。抜け球の真っすぐには手を出さないよ。低めの球も見極められたら勝機があるんじゃないか」

試合前、助言したのはアルプス席で見守る山城来マネジャーだった。脳性まひのため車椅子生活を送りながら敵の分析を担当する。福島をYouTubeで1週間、分析。読み通りだった。福島の速球は序盤から上ずる。2回1死一塁。知名椋が2球目の浮いたスライダーをとらえた。エンドランで中前に運ぶ。一、三塁の好機を築き、二盗。上原も甘い速球を中前へ。足で揺さぶり、2点奪った。

難敵の福島を5回5失点KO。喜舎場正太監督(33)も「車椅子の山城が宿舎に戻って食事のときに、福島君の特徴やキーマンの分析を個々に伝えたり、山城に聞きに行ったりしていた。全員の勝利」と喜んだ。

山城マネジャーは野球とともに生きる。キッカケは小学3年時だ。2月、阪神・宜野座キャンプを見に行った。何度も足を運ぶとメッセンジャーと顔見知りになった。特別支援学校から同校へ。野球に触れたい。だが迷いがあった。

「好きなら、一緒にやろうぜ」

同じクラスの比嘉に声を掛けられた。1年から入部し、試合のビデオ撮影や対戦校の分析を行い、欠かせない。粟国主将も「投手の癖を報告してくれる。夕食も同じテーブル。一緒に喜びたい」と頼る。山城マネジャーも「小さい頃は高校野球のチームに入れると思っていなかった。甲子園に行けるのは感動的です」と目を輝かせる。21世紀枠の初戦突破は16年釜石(岩手)以来だ。甲子園初勝利のヒーローはアルプス席にもいた。【酒井俊作】

▽具志川商・新川 分析とか相手投手の特徴だったりを教えてくれた。スプリットや、高身長なので上から来るストレートとかボール球に手を出さないとか。打席で役に立ちました。

◆九州勢が1日3勝 21世紀枠の具志川商に続き、福岡大大濠、明豊が勝利。センバツで九州勢の1日3勝は初めて。