ノーシードで臨む帝京の“持ってる男”が強運を見せた。

くじを引いたのは、主将ではなく、田巻脩三外野手(3年)。初戦は、7月11日、淑徳巣鴨戦となった。8強まではシード校との対戦がないヤマに入り、「運が良かった。ラッキーです」とマスクの下で笑顔を見せた。

3日前、前田三夫監督(72)の発案で、3年生20人全員でじゃんけんを行い、勝ち残った田巻がくじ引き役に選ばれた。“おとこ気じゃんけん”の哀川翔ばりに親指と人さし指でつくるチョキで、最後の1人に勝利。「よっしゃ、持ってる」と喜んだ。負けた相手は膝から崩れ落ちるほど、盛り上がった。

そうやって選ばれた田巻は、8強まではシード校に当たらないヤマを引き当てた。もっとも、本音は「(第4シードの)小山台とやりたかった」という。チームメートたちからも「小山台のブロックを引いてくれ」と送り出された。昨秋都大会2回戦で6回コールド負けした相手だからだ。その小山台にリベンジするには、ともに勝ち上がって決勝で倒すしかない。「秋、春とエラーで負けた。1球の集中力が欠けていました。連覇は自分たちしかできません」。昨夏の独自大会で東東京を制した。連覇して、今年は甲子園の土を踏む。