投げたかった気持ちを、マウンドで発散させた。身長180センチの長身右腕、岩倉先発の古坂虎汰朗投手(3年)は長い腕を小気味よく振り、4回まで9奪三振のパーフェクトに抑えた。2番手投手が5回2死から安打を打たれたため、参考記録の“パーフェクトリレー”は逃したが、5回コールド勝ちを呼び込んだ。「初戦なので、特に初回にこだわりました。三振、三振で入れたので、うまく試合をつくれたのは良かったです」と笑顔で振り返った。

1年秋に公式戦デビューしたが、制球難もあり、昨年1年間は投手を外された。外野に回り、長い距離を思い切り投げることで、体の上下の連動を身につけさせる豊田浩之監督(45)の狙いがあった。「投球練習は一切、しませんでした。本人はやりたい気持ちがあったと思いますが、させないことでイメージをつくらせる狙いがありました」と明かした。投球への渇きを、成長の推進力に変換させた。

プラン通り、今春に投手復帰。春大会後に左足首を捻挫するアクシデントもあったが、古坂は「上体で力んで投げていたのを、下半身の力で踏ん張って投げるようにしました」。すると、課題の制球が向上。130キロ台中盤の直球を軸にスライダー、フォークをうまく振らせた。

甲子園出場歴もある実力校だが、今夏はノーシードで挑む。エース右腕は「勝たせる投球をしたい。目標は優勝です」と力強く話した。