<高校野球西東京大会:狛江8-7八王子北>◇12日◇2回戦◇スリーボンドスタジアム八王子

年子の兄弟バッテリーで挑んだ夏が終わった。八王子北(西東京)の先発、上野竜輝(3年)が兄。「5番捕手」の航輝(2年)が弟。内田健太郎監督(32)はこの2人を「お調子者の兄を、冷静な弟がリードするバッテリー」と評する。2回のピンチでは、マウンド上で弟が兄の肩を抱き「お前のボール走ってるから、俺のミットめがけて投げ込んでこい」と励ました。グラウンドでは対等。弟の支えがあるから、兄は思いきって投げられた。

家では野球の会話ばかりだという。試合前日には作戦会議、試合後には反省会。この日のテーマは、直球を低めに集めることだった。兄は序盤こそ制球に苦しんだが、3回以降は立ち直り、6回を6安打4失点。粘り強く1点のリードを守ってマウンドを託した。

しかし、2番手投手がつかまって、延長10回サヨナラ負け。試合終了の瞬間、普段は冷静な航輝が、誰よりも涙を流していた。ベンチ裏で兄に「ごめんね」と絞り出した。普段はお調子者の竜輝は「気にしないで、次頑張れ」と返した。最後の瞬間は兄が弟を支え、悔しさをのみ込んでエールを送った。【阿部泰斉】

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