大阪桐蔭が「キャプテン魂」で豪快に初戦突破だ。大院大高との2回戦を12安打9得点で7回コールド勝ちした。

主将の池田陵真外野手(3年)は先制打を含む3安打2打点の活躍。今月3日の練習試合。高知戦で、今秋ドラフト上位候補の森木大智投手(3年)に4打席4三振した屈辱から立ち直った。大阪大会開幕前日の15日には昨年の主将だった大商大・薮井駿之裕内野手(1年)がナインの前で激アツのエール。日本一奪回の機運を高める好スタートを切った。

大阪桐蔭のキャプテンは夏本番で血が騒ぐ。日本一への歩みの1歩目を踏み出したのは池田だ。両チーム無得点の3回1死三塁。外角球を逆らわずライナーで右中間へ。先制適時打で火をつけ、この回は6安打5得点。18年北大阪大会決勝の再現となる一戦であっという間に主導権を握った。「個人的に今までうまくいっていないことが多かった。チームの初戦で、勢いをつける打撃をしたかった。いい形で打てました」。4回は右前にはじき返して、6回は左前に加点タイムリー。3安打2打点の活躍を見せた。

7月3日を忘れない。練習試合・高知戦で森木に4打席4三振。その夜、黙々とスローボールを打ち続けた。「引きつけて自分のポイントで打つことを徹底しました」。プロ注目の好打者は、翌4日の東海大相模戦でセンバツ優勝の立役者、石田隼都投手(3年)から、場外アーチなど2本塁打で気を吐いた。

「キャプテン魂」がナインを刺激する。大阪大会開幕前日の同15日。昨年の主将だった薮井が電撃訪問し、後輩の前で話し掛けた。「3年生は最後の夏、チーム全員61人で束になって戦ってほしい。1つ上のOBも応援している。でも、自分たちの思いを背負うのではなく、思い切ってやってほしい」。昨年はコロナ禍で夏の甲子園が中止。甲子園交流試合で決勝打を放った薮井から、池田は白い打撃用グラブを託され、試合日はバッグに持ち込む。「受け継ぐモノです」。この日は機動力を生かして9盗塁で、無失策だった。全国トップ級の走攻守を示した。常勝軍団は先輩の思いも力に変える。【酒井俊作】

▽大阪桐蔭・西谷浩一監督 初戦で入りが大事。集中してやってくれた。(池田は)責任感が強い。夏に合わせてきた。(チーム9盗塁は)バッテリーにスキがある感じ。今日は走るのが一番の得策でした。