大阪の最速147キロ右腕、エース長友一夢(ひとむ)投手(3年)がロング救援で逆転勝利に貢献した。

1回に北摂つばさに5安打で5点を先取され、打線は3回まで得点を奪えず、チームに焦りの色が漂った。4回にさらに1点を加えられ、なお1死一、二塁で長友が2番手で登板。4番打者をカットボールで併殺打に打ち取ると、チームは一気に活気づいた。福原和行監督(57)が「長友が投げてから他の選手も落ち着いた」と振り返ったように流れが変わった。

直後の4回は先頭打者が安打で出て、相手投手の乱調にも乗じて犠飛と押し出し四球で2点を返した。ここから反攻を強め、6回には逆転に成功。5イニング連続得点で押し切った。長友も5回2/3を2安打1失点と粘りのピッチングで奮起した。

長友は「いつでも投げられる準備をしていた」と言いつつ、「無駄なボールが多く守備のリズムを崩してしまった。疲れはなかったが、下半身をうまく使えなかった」と勝っても5四死球の内容を課題を挙げた。それでも福原監督は「長友が投げたから勝ったと思う」と厚い信頼を寄せた。

指揮官に「人一倍練習する子」と言わしめる長友は、8強で散った春季大阪大会後からトレーナーと相談し、スタミナ強化の特訓をした。10~50メートルの短距離から、300メートルの中距離の走り込みをこなし「スタミナは徐々につき、三振も取れるようになってきた」と成果をつかんで最後の夏を迎えた。

チームスローガンは「大阪が大阪で1番を」。新チーム結成直後、福原監督が初めに言った言葉だった。10年ぶりに夏の3回戦を突破した今が実現できるチャンスだ。長友は「目標を成し遂げられるように頑張りたい」と強く誓った。【三宅ひとみ】