今夏の甲子園で16強入りした盛岡大付(岩手)が17日、春夏通算34度の出場を誇る名門・星稜(石川)の林和成監督(46)を招いて講演会を行った。3年生を含む選手109人と関口清治監督(44)らスタッフが、19年夏に甲子園準優勝へと導いた名将の言葉に耳を傾けた。

「今の自分を超えるには」と題し、林監督は約2時間盛付ナインに金言を授けた。テーマの1つに「運、ツキ、流れ」を挙げ、「技術がないともちろん勝てないですけど、運もないと勝てない。どっちも大事なんです」と投げかけ、14年夏の小松大谷との石川県大会決勝を例に挙げた。0-8の劣勢から9回サヨナラ勝ちした大逆転劇の舞台裏を交えて語りかけた。「言葉というものがすごく大事で(2点差に迫った9回無死、カウント2ボールからボール球に手を出して凡打に倒れた選手に)ベンチの選手たちは手をたたいて『積極的でいいよ!いいよ! 』って、下を向いて帰って来る選手に言っていた。私は待てのサインを出していたので『なにをやってんだ。流れを止めるなよ』と言いかけたけど、選手たちが言わせなかった。もしそれを言っていたらこの試合は終わっていたかもしれない。技術と運とがかみ合って、つくられた試合だったと思います」。

さらに星稜出身で今季9勝をマークしたヤクルト奥川恭伸投手(20)の高校時代を振り返り、大成していく選手に共通する特徴を挙げた。「この人(奥川)はいつもニコニコしている。眉間にしわを寄せた顔なんか1回も見たことがない。すべてを自分のプラスに変えることできた。やっぱり、いつも前向きな人が運を引き寄せることができる」と話した。不平、不満を言わず、何事もプラスに捉えることが結局は自らのためになることを説いた。

10年前から両指揮官は親交があり、関口監督が昨年の冬から林監督に講演をお願いし、今回実現した。関口監督は、「違う方の指導者の話を聞けるのは、選手にとっても新鮮だったと思います。今後も外部の方を招いた講演会を取り入れていきたい。第1回は林監督にお願いしたかったので、良かったです」と話した。選手たちにとって、今後の人生につながる有意義な時間となった。【佐藤究】