室蘭地区で、苫小牧南が室蘭東翔に12-2で5回コールド勝ちし、2年ぶりに初戦を突破した。白老白翔中時代に日本ハム根本悠楓投手(19)と全国中学優勝を経験した主将の吉原成海遊撃手(3年)が、三塁打2本を含む3安打4打点2盗塁でチームをけん引した。昨秋初戦(対静内)は3回まで6点リードも降雨ノーゲームとなり再試合で8回コールド負け。この日は全道で降雨が続き、途中で中止になる可能性があった中で効果的に加点し、雨が強くなる前に勝ちきった。

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日本一を知るリーダーがチャンスメークからフィニッシュまで、ばっちり絡んで白星を引き寄せた。まず2回1死一、三塁で豪快な中越え2点適時三塁打。4回先頭で右前打を放つと「スキを見て積極的な走塁を意識した」と二盗、三盗と立て続けに決め8点目の生還を果たした。さらに5回1死二、三塁で左中間に2点適時三塁打を放ち9点差とすると、暴投で本塁にかえりコールド勝ちを決めた。

前日から雨予報で「秋の記憶がよみがえった」。昨秋は地区初戦で7-1とリードした3回終了時に降雨ノーゲーム。自身も1安打放ちスイッチが入っていたが「1戦目は緊張感を持って臨めたが、再試合は気持ちが抜けてしまった」と翌日の試合は3打数無安打。チームもコールド負けした。この日も雨で中止になる可能性があったため「2試合やっても勝てるよう引き締めて臨もう」と声をかけあい、黒い雨雲が垂れ込めてきた5回に、自ら好機をつくり、1時間19分で試合を締めた。

白老白翔中1年夏に日本ハム根本とともに全国中学軟式野球優勝を経験。決勝戦の出番はなかったが、白老小時代に所属した虎杖浜タイガースでは根本の後ろで遊撃手を務めた。「ほとんど根本さんが抑えてくれるので急に来た打球を僕がエラーして負けたりしていた。だから、いつでも集中しないといけないんだと学んだ」。幼少期からの教訓を生かし、守備も無失策で代表決定戦に駒を進めた。

この日は父昭博さんの57歳の誕生日。スタンドにかけつけていた父の前で活躍し「最後の夏に、いいプレゼントができた」。自身初となる2日の代表決定戦は、今春地区初戦でコールド負けした駒大苫小牧と対戦する。大敗後、投手をマウンドから6メートル前進させて打撃練習を繰り返してきた。「前回も負けはしたが手応えはあった。やってきたことを全部出し切りたい」。99年以来23年ぶりの南大会切符をつかみ、父を円山に連れて行く。【永野高輔】

◆吉原成海(よしはら・なるみ)2004年(平16)10月29日、白老町生まれ。白老小1年時に、日本ハム根本と同じ虎杖浜タイガースで野球を始める。白老白翔中では1年夏の全国中学に背番号16でベンチ入りし、日本一を経験。苫小牧南では1年秋から背番号6でベンチ入り。家族は両親と姉2人。170センチ、53キロ。右投げ右打ち。