<シン・うるうるマン:室蘭栄・住吉壮野投手(3年)>

ライバル同士、最後まで投げ合いを楽しんだ。プロ注目右腕、苫小牧中央の斉藤が136球、自身は139球で、そろって9回完投。「負けて後悔がないといえばうそになるけど、最後に一番、楽しい試合ができた」と目を潤ませた。

1年秋に最速146キロをマーク。NPBのスカウトから注目を浴びたのは住吉の方が先だった。178センチ、88キロとがっちりした体格を生かした力強い直球を武器に、1年夏から公式戦に登板。だが、道大会には縁がなかった。斉藤は昨秋の全道大会で4強入りし一気に知名度を上げた。大会後の練習試合でLINEのアカウントを交換。最後の夏、抽選で同じブロックに入ると斉藤から「代表決定戦で当たるね」と連絡が届いた。

約束通り1、2回戦を突破し対戦を果たした。前回先発で対戦した昨夏の地区2回戦は、自身が6回6失点し先に降板も、今回は5失点しながら最後まで投げ合い、16三振の斉藤に負けじと10三振を奪った。やり切った。最後の整列では「俺らの分まで、甲子園に行ってくれ」と託した。

目標はプロも「まずは進学して大学で力をつけてから目指したい」。斉藤が高卒でプロ入りする可能性もあるが「もしそうなったら、いつか追いついて、上の舞台で対戦できたら」。次こそは勝つ。【永野高輔】