<シン・うるうるマン:札幌第一・田中佑弥投手(3年)>

札幌地区で南大会代表5校が決まった。春の全道王者札幌第一は札幌創成に敗れた。

泣きじゃくるチームメートの中、ぐっとこらえた。春王者のリーダーは「自分は主将として最後までしっかりしてないといけないと思った」。相手校歌が流れる中、ベンチ前で胸を張り、じっと前をみつめた。

1回表に6点を先制。完全に勝利への流れができていた。直後の投球は、初球から8球連続ボールで1、2番打者に連続四球。1/3回3安打3四球5失点降板となった。「うまくいかないときに、そこから逃げようすると、こうなる。いいときはいいけど、修正できない自分の甘さ。流れを切ってしまい、チームに申し訳ない」と自身を責めた。

今春、全道王座に立ち、見えないプレッシャーを抱えていた。「相手も捨て身でやってくる。そこに負けちゃいけない、気持ちで負けないんだと言い聞かせながらやったが、相手の方が気持ちが上だったのかもしれない」。追われる立場の怖さを、思い知った。

冬場に、主将を辞めようと思ったことがあった。「何で自分ばかり厳しく言われるのかと。でも仲間に相談したら『お前しかいない』と言われ腹をくくった。今では厳しく言われたことが成長につながったと思える。大変だったけど、やらせていただき感謝しかありません」。緊張の糸が解けた瞬間、目から涙があふれた。【永野高輔】