“コクトチ旋風”だ! ノーシードから甲子園切符をつかんだ国学院栃木が、昨夏王者の智弁和歌山を打ち破った。プラン通りの4投手の継投で、強力打線を8安打3失点に抑えた。2番手で登板した主将の平井悠馬内野手(3年)は1回を無失点。打っては8回のソロアーチを含む3安打2打点の活躍をみせた。チームは00年センバツ準決勝、18年同3回戦と甲子園の舞台で続けて敗れていた相手に、三度目の正直でリベンジした。

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国学院栃木の戦略が、智弁和歌山の魔曲「ジョックロック」もはねのけた。

9回2死二塁、エース盛永が遊飛に抑えると、選手たちはジャンプしながら歓喜のハイタッチ。投打でチームをけん引した主将の平井は「最高の気分。1回戦に勝ってから智弁和歌山さんのデータを見て、自分たちを信じてやってきたので、うれしい気持ちでいっぱいです」と笑みがはじけた。

プラン通りだった。先発は盛永ではなく、左腕の中沢が2イニング。「いつでもいけます」とアピールしていた二刀流の平井をはさみ、ケガから復帰した本格派右腕の中川が最速146キロの直球で2回を無失点に抑え、試合を折り返した。

集中力を保つため、1~5回までを1試合目、6回からを2試合目と想定していた。2-2で迎えた5回終了後のグラウンド整備中、柄目(つかのめ)直人監督(39)は「ここからプレーボール」と声をかけた。予定通り、6回から“先発”した盛永は「自分のためにロースコアで抑えてくれたので、失点しないで抑えてやろうという気持ちでした」と緩急を駆使して4回を1失点にまとめた。監督は「3点しか取られなかったことが想定外。うちは全員で攻めていくイメージだった」とほくそえんだ。

00年センバツ準決勝(2-10)、18年センバツ3回戦(4-7)と智弁和歌山に敗れた。00年に「1番中堅」で出場していた柄目監督にとっては、三度目の正直でリベンジ成功。目標の4強まで、コクトチ旋風で駆け上がる。【保坂恭子】

▽国学院栃木・長田(4安打3打点、初戦から7打席連続安打中も) 全然気にしていない。チームのために打ちました。挑戦者の気持ちを忘れずに思い切ってバットを振って勝利に貢献できた。

▽国学院栃木・中川(ケガで県大会は1イニングのみも復活) 久々の登板で楽しむことを大事にして、全力で投げられるように準備していた。理想の試合ができた。

▽国学院栃木・槙本(6回に先頭でセーフティーバントを決めチャンスメーク) 県大会から、相手が作ってくれた試合の流れ、波にそのまま自分たちも乗って得点してきた。失点しても逆にチャンスがきたな、という雰囲気だった。

◆7打数連続安打 国学院栃木・長田が日大三島戦の2打席目から1四球を挟み大会6位タイの7打数連続安打。連続記録は継続しており、86年水口栄二(松山商)ら過去5人がマークした大会記録の8打数連続にあと1と迫った。