<全国高校野球選手権:九州学院4-0国学院栃木>◇16日◇3回戦◇甲子園

国学院栃木(栃木)平井悠馬内野手は試合終了後、アルプスへのあいさつを終えると、泣き崩れた。「最高の仲間でした。辛いことよりも楽しかったことが多くて…もっともっと81人全員で甲子園を戦いたかったです」。控え選手たちが、笑顔で拍手をする姿が目に入り、涙が止まらなかった。

二刀流の夏が終わった。今夏、初先発も直球で押すはずが高めに浮き捉えられた。「自分のダメな部分が出て、立ち上がりで先制された」と声を振り絞った。4番としても九州学院・直江の緩急を使った投球に、3打席まで無安打。9回、先頭で左前打を放ち、意地を見せたが、得点には結び付かなかった。

泣き虫主将の涙が、チームを強くした。昨秋、県大会準々決勝で敗退すると、ミーティングで「このままじゃ甲子園に行けないぞ」と涙した。控え選手たちは「付いていこうと思いました」と、主将の涙にチームメートの心が動いた。毎朝、午前6時30分にグラウンドで朝練習を始める平井の姿に、選手の輪が広がり、その背中を追いかけ成長した。

今年、チームは「捲土(けんど)重来~革命の国栃」をテーマに掲げた。トレーニングルームやベンチなど至る所に貼り、意識付けをした。昨秋の敗戦から、勢いを盛り返し、最高の仲間たちとともに夏37年ぶりに出場し、3回戦進出を果たした。平井は「革命は始まったばかり。来年も甲子園に来て、4強の目標を果たして欲しいです」。夢を後輩たちに託した。【保坂淑子】