6年前の決勝カード再現だ!。6年ぶりの春王者を狙う仙台育英(宮城1位)が、盛岡三(岩手3位)に3-0で完勝。湯浅桜翼内野手(2年)が、3回2死三塁のチャンスで一塁手の失策を誘う鋭い打球を放ち、先制点を演出。7回にもダメ押しの右適時打を放つなど、存在感を発揮した。八戸学院光星(青森2位)は、ノースアジア大明桜(秋田1位)に8-5の逆転勝ち。3試合連続2桁安打となる11安打で打ち勝った。

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鋭い打球で均衡を打ち破った。3回2死、仙台育英の2番山田脩也主将(3年)が中前安打で出塁。山田は湯浅への2球目に二盗、相手捕手の失策で一気に三塁へ。3回2死三塁、絶好のチャンスに湯浅は「脩さん(山田)が足でかき回して、チャンスを広げてくれていた。気持ち的には楽に入れました」。フルカウントまで粘った6球目。直球をはじき返し、一塁手が後方にそらした間に山田が生還。先輩がつくったチャンスをものにし、貴重な先制点に貢献した。

7回2死三塁で迎えた第4打席では、初球を右適時打。打席に立つ前に須江航監督(40)が直球と変化球のどちらを狙うか確認すると「変化球です。変化球しかこないと思います」と即答。第2打席は直球を強くはじき返したが、第3打席は変化球を打ち損じて右飛。湯浅は「変化球が合っていないと思われているだろうな」と判断。指揮官の意図と一致し、外角やや低めに入ったスライダーを1発で仕留めた。須江監督は「お見事でした」と手放しで称賛。湯浅は「できすぎたかな…」と苦笑し、「本当にきて、本当に打てたのでびっくりしました(笑い)」と無邪気な笑顔で振り返った。

この日のテーマは「夏の県大会準決勝」。勝たないと明日がないというイメージで試合に臨んだ。夏の県大会未経験の湯浅は「ベンチの雰囲気もすごく明るく、選手がやりやすい空気をつくってくれていた。夏はこういう感じなんだと思いました」といつもとは違う緊張感を味わった。11日に向けては「夏の決勝戦、負けたら終わりだと思って、チームの勝利に貢献できたら」。6年ぶりの春東北王者へ、夏の予行演習を最高の形で締めくくる。【濱本神威】

○…仙台育英は投げては高橋煌稀投手(3年)と湯田統真投手(3年)が完封リレー。高橋は初回、先頭打者に対し150キロの直球で空振り三振を奪った。その後も好投を続け7回を5安打。3ボールとなってもそこからの修正が見事。安定感のある投球で無四球で終えた。湯田は8、9回を3者凡退と完璧なリリーフを見せ、9回には150キロ超えを連発。この日最速の153キロをマークし、球場をどよめかせた。

○…八戸学院光星はノースアジア大明桜を8-5で破った。3回までに5失策、4失点と最悪の立ち上がりだった。仲井宗基監督(53)は「周りが足を引っ張り、ピッチャーも落ち着きを取り戻すことができない最悪な入りだった」。しかし4回2死一、二塁、藤原天斗捕手(3年)の3点本塁打で反転攻勢に出ると、3-4で迎えた5回には1死二、三塁で砂子田陽士外野手(2年)が逆転の2点中前適時打。6回に同点に追い付かれたものの、その裏、新城雄麻内野手(3年)が1死満塁のチャンスに決勝中犠飛。新城はその後、8回1死の場面でダメ押しの左越えソロを放つなど2安打2打点を挙げた。チーム合計11安打で秋田1位を打ち破り、6年ぶりの決勝進出。相手は6年前の決勝で敗れた仙台育英だが、昨年9月の練習試合では6-6と実力は互角。仲井監督は「夏につながる大会にしないといけない」と気を引き締めた。