ミラクル旋風再び-。昨夏の西東京大会で創部初のベスト4入りを果たした富士森が、ノーシードから名誉挽回の夏に臨む。グランドを走る部員たちの背中には、ピンクに縁取られた巨大な「己」の1文字が浮かぶ。「自分自身に負けないように」と自戒の意味も込め、3年生を中心にチームTシャツをデザインした。主将の塚田陽人内野手(3年)は「春は個人の甘さが出て負けた。悔しさをぶつけるのは、もう夏しかない」と、ラストシーズンに懸ける思いは強い。
昨夏は駒大高や日大鶴ケ丘などの強豪私立を撃破。40年ぶりの8強入りから、初のベスト4まで駆け上がった。だが新チーム発足後は、秋は夏の準決勝で敗れた日大三に雪辱できず、春は多摩工に5-13で完敗。ともに1次予選で姿を消し、都大会にも進めなかった。昨夏快進撃の栄光は、すっかりかすんでしまった。
ただ、夏を味方につける戦い方は知っている。チームの強みは、「暑さ」に強いこと。体力づくりと忍耐力向上を目的に、昨年から走り込みに重点を置く。特に近年の酷暑対策として、グラウンドコートを着込むなどして、暑さへの耐性を上げてきた。
昨年のオフからは、学校の前を流れる南浅川の河川敷を周回する8キロ走にも取り組む。冬季は毎日、現在も週に3回ほど、40分内を目標に同距離を走破する。広瀬勇司監督(60)は「夏は熱中症にならないことが第一。昨年は足がつったり、暑さで倒れる子が1人もいなかった」と、練習の成果は結果にも表れた。昨夏もメンバー入りした岩沢颯汰捕手(3年)は「あれだけ走ったんだからと、自信を持って試合に臨めるようになった」と、精神面でも効果を実感している。
目標は、昨年の先輩たちを超えること。つまり、夢は大きく、西東京では2013年の日野以来となる都立勢としての決勝進出だ。初戦(2回戦)は7月11日、スリーボンドスタジアム八王子で翔陽と対戦する。旋風から突風へと勢力を上げて、今年も西東京を熱くする。【玉利朱音】

