清原勝児の物語は続く。甲子園で流した歓喜の涙から2日、慶応(神奈川)のメンバーが横浜市の日吉台グラウンドで取材に応じた。清原は将来の夢を聞かれ「最終的にはプロ野球選手になりたい」と明かした。

24日夜は、自宅で両親と兄の正吾(慶大=3年)に優勝メダルを自らの手でかけ、家族4人で喜びを分かち合った。わずかな単位不足で1年生を2度経験したため、高校卒業まで約1年半の期間がある。公式戦には出場できない間、どのような形で練習を行うかは森林貴彦監督(50)と相談する。プロを目指すべく「全てにおいてレベルアップしたい」と意欲を見せた。

オンリーワンの高校野球だった。常に「清原和博氏の次男」が付いて回った。この夏はスタメン出場なしで代打出場のみ。勝負の1打席のためにバットを振った。今の心境を「このチームでもう試合ができないことが悲しい」と寂しそうな表情で語る。「自分が息子じゃなかったら経験できないこともたくさん経験させていただいた。良くも悪くも感謝したい」と両親と周囲への感謝を口にした。3年間で体も心も強くなった。

試合前日は、チームメートと丸亀製麺に通うことが楽しみだった。森林監督の長男賢人外野手(3年)からの“情報”を伝え聞くと「アイツ(賢人)めっちゃ言うじゃん」と声を上げて笑った。甲子園でも3回戦の広陵(広島)戦の前日にいつもの冷たいぶっかけうどんをすすった。18歳の高校生らしい素顔を見せた。

うれしさも悔しさも味わった高校野球は一区切り。野球人として「全てにおいて全然足りないので、もっと成長したい」と力を込めた。この夏は神奈川大会からノーヒット。次のヒットはもっと成長した姿で放つつもりだ。【黒須亮】