<秋季高校野球北海道大会:札幌一7-0札幌月寒>◇12日◇札幌地区Cブロック1回戦◇野幌総合

 札幌地区で夏の甲子園南北海道代表の札幌一が札幌月寒を下し、秋初戦を7回コールド発進した。3回2死満塁で4番山田健太郎捕手(2年)が走者一掃の右三塁打を放つなど、この回4得点。その後も3点を追加し、守っても2投手の無安打継投で完勝した。人気野球マンガの主人公とは1字違い、167センチ、74キロの「北のドカベン」が夏春連続甲子園を狙うチームをけん引する。

 3回裏2死満塁、札幌一の新主砲が0-0の均衡を破る一打を右翼へ放った。167センチ、74キロの山田は必死に三塁まで走り、ベースに滑り込んだ。走者一掃の先制三塁打、3得点がスコアボードに入っても、ドカベン主人公の山田太郎ばりの冷静沈着ぶり。ガッツポーズもせず、普通に立ち上がると、にこりともしなかった。

 「いいところで打順が回ってきて、カーブを狙っていました。うまく打てました」と山田。1年秋に公式戦は代打で出場した経験はあるが、スタメンはこの日が初めて。しかも4番で、捕手という重責を見事にこなして勝利につなげた。

 南幌中時代は「健」が付く1字違いの名前と捕手をやっていたことで「ドカベン」と呼ばれたことはある。だが、チームでは「健太郎」か、略して「ケン」。中学生のころからドカベンは愛読書で「ほとんど読みました」と話す。芦別高で野球をやっていた父佳正さん(49)が買っていたものを読み「はまってしまいました。すごい選手」と今では尊敬する選手の1人となった。

 「期待は大きいですよ。バッティングの思い切りがいいし、チームを引っ張ってくれる」。菊池雄人監督(40)もそっくりの名前だけでなく、その実力を評価する。夏の甲子園でマスクをかぶった村田皓大捕手(3年)より、打撃力なら上をいくという。この日は先発の横内雅樹(2年)が6回、桜庭智輝(1年)が1回の無安打無得点継投を好リードで引き出した。「村田先輩から全部教えてもらいました。まだまだですけど」。目標とする村田をリード面でも超えようと、北のドカベンはまだまだ進化を続ける。【中尾猛】