<全国高校野球選手権:市岐阜商4-3香川西>◇8日◇2回戦

 5年ぶり4度目出場の市岐阜商(岐阜)が香川西(香川)を4-3で下し、悲願の甲子園初勝利を挙げた。4回に主将の吉村俊政外野手(3年)の適時打で、通算31イニング目で同校甲子園初得点を挙げて勢いに乗り、しびれるような好ゲームを制した。市岐阜商は大会12日目(13日)に第1試合で聖光学院(福島)と対戦する。

 4度目の夏の甲子園出場での初勝利に指揮官の心も震えた。秋田和哉監督(40)は「関係者みんなが喜んでいると思う。岐阜大会で厳しい試合を経験してきてことが勝利につながった」と感激を隠せなかった。

 過去3度はすべて初戦で完封負け。その反省から打撃力強化に通常は5球ほどで交代するフリー打撃を約100球続けて打たせた。この日、4回にチーム初の打点を挙げた主将の6番吉村俊政外野手(3年)は「練習のおかげで振る力がつきました」。同点で迎えた6回には、6番西田智晴内野手(3年)が貴重な勝ち越し2ラン。過去3度の屈辱を晴らすように4点を奪い、香川西に競り勝った。

 メンバーを外れた3年生の思いを胸に戦った。前夜7日のミーティングでベンチ外の3年生4人から手作りのお守りをメンバー18人が受け取った。黒地に校章入りで「勝」の文字が縫い込まれていた。中には学校グラウンドの土も入っていた。吉村主将もピンチになるとお守りが入っている胸に手を当てた。部員全員でつかんだ待望の1勝だった。

 次戦は3回戦で聖光学院(福島)と対戦する。「うちらしくしつこい野球がしたい」と秋田監督。重い扉をこじ開けた市岐阜商ナインが、勢いに乗って2勝目を目指す。【聡】