大役に押しつぶされた。DeNA井納翔一投手(31)が4回1/3、7安打7失点でKOされた。19年ぶりの日本シリーズの第1戦の先発を任されたが、役割を果たすことなくマウンドから消えた。「内角に投げ切り、ストライクを取ることができなかった。自分で苦しくしてしまった。先発の役割を果たせず申し訳ない。申し訳ないじゃ、済まされない」と反省の弁だけを並べた。

 勝負の鉄則を破った。全5イニングで走者を背負うだけではなく、4イニングで先頭に出塁を許した。味方が1点を反撃し、2点差に迫った直後の5回が痛恨だった。先頭の今宮を四球で歩かせた。低めを意識する一方で攻撃的な姿勢が薄れた。二盗と失策で無死三塁とピンチを広げ、デスパイネに落ちきらなかったフォークを中前に適時打されると自らへの怒りでマウンドに右拳を振り落とした。「絶対にゼロでいかないといけない。意識し過ぎたのは言い訳にならない。あそこで試合を決めてしまった」。四球と安打で塁上を埋め降板を告げられた。

 かすかに芽生えた反撃ムードを一瞬にして消してしまった。広島とのCSファイナルステージ第3戦では好投と決勝適時打で日本シリーズ進出をたぐり寄せた。CSファーストS第1戦に続きラミレス監督から託された初戦で、自滅の感を残したまま沈んだ。チームも井納本人も本領発揮することなく、初手で大敗を喫した。【為田聡史】