東北学院大の後藤大熙(たいき)投手(2年=東北学院)が、リーグ初登板初完封の鮮烈デビューを飾った。東北大を相手に3回終了まで完全。4回、5回は先頭打者に安打を許したが、低めにボールを集めて後続を断った。11個の内野ゴロに、10奪三振。最速141キロの直球とカーブだけでの好内容に、菅井徳雄監督(61)は、プロに進んだOBの本田圭佑投手(24=西武)、鈴木遼太郎投手(22=日本ハム)以上の素材と認めた。昨秋王者の仙台大も、鳥井凌外野手(4年=尽誠学園)の2本塁打などで10-3と宮城教育大に勝ち、白星発進した。

 最後も相手バットをへし折った。9回2死三塁、相手4番を内角直球で詰まらせると、白い破片が内野を舞った。遊ゴロでリーグ初勝利。派手なガッツポーズもなく、淡々と木くずを拾った。切れ味鋭い直球で、折ったバットは計3本。「気持ちいいですね」。宮城・多賀城市の浮島サザンカジュニアーズで小2から始めた野球人生で、初の0封。「ストレートで押したことが良かった。甘いところにいかないように、決め球を内外に投げられた」と笑顔を見せた。

 今月上旬、社会人とのオープン戦でリリーフ登板し、最終回を直球だけで3人斬り。開幕先発の信頼をつかんだ。185センチの長身で長い手足を生かす投球は、尊敬するダルビッシュ有投手(31=カブス)を目指す。背番号11も、自ら希望。ユーチューブ動画で研究し、回転数の多いキレのある直球を磨く。スライダーやカットボールなど、多彩な変化球も習得中だが、ちょっと苦手。「まだ完璧じゃないので」と、この日の126球は直球とカーブのみ。昨秋からウエートトレーニングを積み、体重は約3キロ増の80キロに。今春の七十七銀行戦で最速141キロを出すなど成長著しい。

 プロ野球に進んだOB投手、岸孝之(33=楽天)や昨年のエース鈴木の背中を追い「プロ野球選手を目指しているので、その世界に入りたい」と意気込んだ。同監督も「2年春の時点では岸のほうが良いけれど、本田と(鈴木)遼太郎よりは、はるかに上」と絶賛。「遼太郎が抜けた投手陣のブラックホールは広がったままですが、後藤が今季リーグ戦でどのくらい成長してくれるか楽しみ。ストレートのコントロールが良い日は、そんなに打たれないと思う」と期待を寄せた。

 攻撃陣も宗片直輝三塁手(4年=柴田)の左越えソロ本塁打で先制。最終回には犠打を挟んだ5連打など好調だ。後藤は「勝利数を重ねて、チームのリーグ優勝に貢献したい」。12年秋以来の優勝に向け、救世主の誕生だ。【鎌田直秀】