竜のレジェンド2人が涙で現役に別れを告げた。今季限りで引退を表明している岩瀬仁紀投手(43)と荒木雅博内野手(41)が13日、今季最終戦となったナゴヤドームでの阪神戦に出場。引退セレモニーではそれぞれが涙を浮かべ、ユニホームを脱いだ。森繁和監督(63)も今季限りで退任。来季はOBの与田剛氏(52)を新監督に迎え、新たな体制で巻き返す。

レジェンド2人が涙を流した。荒木は「1番二塁」で先発。延長11回までをフル出場し、今季7度目のマルチ安打もマークした。8回の第4打席は能見から右前打。果敢に狙った二盗には失敗し、20年連続盗塁は未達に終わったが、背番号2が最後までナゴヤドームで躍動した。

セレモニーでは同学年の元同僚、阪神福留から花束を手渡された。抱き合うと、引退会見でも見せなかった涙が頬を伝った。ファンには「引退する最後の最後の日まで背中を押してくれて感謝してもし切れない気持ちでいっぱい」と頭を下げた。

前人未到の1002試合目の登板となった岩瀬は9回に登場。同点に追いつかれてなお2死三塁で佐藤からバトンを受けた。退任する森監督からボールを受け取って登板。98年のドラフト同期、かつてのチームメートでもある代打福留と対戦した。初球は真っすぐ。そこから宝刀スライダーを続けて3球で空振り三振。汗を拭い、ホッとしたような表情をみせた。

「まさかああいう展開で出るとは。楽しく笑って投げようと思ったけど、普段通りと同じで終わった。最後の最後までアウト1つの苦しみがよく分かった」と苦笑いだった。

荒木に続いて引退セレモニーに臨んだ岩瀬は、20年分の喜怒哀楽が染みこんだマウンドで胴上げされた。「最後くらいは自分によく頑張ったと言ってあげたい」としみじみと言った。

岩瀬と荒木。中日の黄金期を支えた2人は、万感の思いでユニホームを脱いだ。【伊東大介】