日本ハムが接戦を制し、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ進出に逆王手をかけた。2-2の8回2死二塁で、大田泰示外野手(28)が、CS7打席目で初安打となる決勝の左越え適時二塁打を放った。レギュラーシーズンから続いていた対ソフトバンクの連敗は8でストップ。対戦成績を1勝1敗とし、今日15日の最終第3戦で勝てば2年ぶりのファイナルステージ進出だ。

気持ちで打った。大田のバットが窮地のチームを救った。同点に追いつかれた直後の8回2死二塁。ソフトバンク加治屋の149キロ真っすぐに反応した。「ボール球に手を出して追い込まれて…。食らいつくだけで、本当にいいところに飛んでくれて良かったです」。打球は左翼手・グラシアルの頭を越えていった。決勝の適時二塁打。二塁ベース上で、ベンチに向かって大きくガッツポーズした。

必死だった。8回の打席に向かう前のことだ。「ヨコ、貸して」。3回に先制ソロを放っていた横尾のバットを借りた。「こういうので吹っ切れたらいいなと思ったし、自分の目に見えるところで変化を起こそうと思った」。第1戦では7回に代打が送られるなど、決勝打まで6打数無安打。悪い流れを変えるべく、なりふり構わず、どうにかしたいという思いで歩み寄った後輩のバットから執念のCS初安打が生まれた。

前夜には、尊敬する先輩にもアドバイスを請うていた。今季限りで現役引退する矢野に電話したという。「(打てなくて)悔しかったし、(気持ちを)落ち着かせてくれた」。安心できる先輩の声を聞いて心も整え、最高の結果を出した。試合後には感謝の思いを示すように、矢野の背番号「37」のユニホームを着てヒーローインタビューへ。「アドバイスをもらったので、安打が打てたと思います」と、メッセージを送った。

値千金の一打で、負ければ終わりという崖っぷちから1勝1敗の五分へと盛り返した。「勝つしかないんで、貪欲に必死になって一生懸命やるだけです。とにかくみんなで束になって、数少ないチャンスをものにしてやっていければいい」。目指すところは日本一だけ。ファイナルステージへ、この勢いのまま駆け上がる。【山崎純一】