ソフトバンクが日本ハムに競り負け、クライマックスシリーズ(CS)第1ステージ突破に逆王手をかけられた。工藤公康監督(55)は、勝つか引き分ければ5年連続ファイナルステージに進出し、負ければ敗退となる第3戦の先発に東浜巨投手(28)を起用する。責任感の強い右腕にプレッシャーがかかる大一番を任せ、総力戦で突破する。

エース千賀で連勝突破を狙ったが、8回に4番手の加治屋がつかまった。逆王手を許す悔しい敗戦にも、工藤監督は「粘り強く戦ってくれた。マルティネスにはうまく緩急をつけられた」と、7回に1度追いついた粘りを前向きにとらえた。

負ければシーズン終了となる大事な第3戦の先発は東浜に託す。工藤監督は「責任感が強いことなども考えたうえ。彼の持っているものをしっかり出してくれれば」と、起用の理由を説明した。東浜は試合後「ここまで来たので力を出すだけ。やるしかない。調整の難しさなどは考えずに明日(15日)の試合だけを考えていた」と、巡ってきた大一番へ気合を入れ直した。

CS2試合で日本ハム打線を見た東浜は冷静だった。「印象うんぬんじゃない。短期決戦は1戦1戦別物。(第3戦は)また違った戦いになる。しっかり投げたい」。今季は右肩痛で5月26日に離脱した。8試合で1勝5敗。それでも完投負けが2試合あった。右膝や右肩に違和感を覚えながらも、昨季最多勝右腕の責任感で投げ続けた。8月に復帰後は9戦で負けなしの6連勝。10月は2戦2勝で防御率0・71と絶好調だ。

シーズン最終戦の8日ロッテ戦で7勝目を挙げた時、「まだ離脱した分を返せていない」と、CSへの強い思いを口にした。ポストシーズンはCSは過去6試合(先発1試合)、日本シリーズは3試合(先発2試合)でまだ0勝。チームが崖っぷちの今こそ、ポストシーズン初勝利を挙げたい。倉野投手統括コーチも「かかる期待は大きい。後半戦は状態もいいので」と話す。

07年からのパの第1ステージで○●から第3戦を迎えたチームは6度あり、そのうち5度は勝って突破している。東浜が初回から全力で飛ばし、武田、石川が待機する分厚い救援陣に早めにバトンを渡す。工藤監督が就任以来、1度も逃していないファイナルステージ進出を決める。【石橋隆雄】