広島菊池涼介内野手はポーカーフェースできばをむく。1点を追う8回1死一、二塁。3打席凡退させられた西から、内角シュートを鮮やかに左前に運ぶ同点打。

3球目にハーフスイングをとられた球を「またくるかな」と狙い打ち、バティスタの勝ち越し打も呼んだ。9回2死満塁ではとどめの2点右前打。この回7点の猛攻のきっかけとなり、3戦連続逆転勝ちで5連勝をもぎ取った。

得点圏打率を4割1分4厘に上げ、リーグトップをキープした。チーム状態がどん底を脱した4月、得点圏打率の高さについてこう話している。「得点圏に走者がいれば、いつもかえしてやろうと思ってますけどね」。そして、こう加えた。「勝てないと、絶対かえさないと、と焦りが加わる。勝っていれば、かえしてやろう、と前向きになれる」。打線が上向き、菊池涼の勝負強さが最大限に発揮される状態になってきた。

前回4月7日の対戦で完封負けした西を攻略した。緒方監督は「最後の最後にね。キクが勝負強い打撃でね。8、9回の攻撃はしっかり集中して、お見事のひとこと」と話した。一時は借金8を背負った王者が単独2位に浮上。1ゲーム差の首位巨人を、しっかりと照準に捉えた。【村野森】