日刊スポーツ評論家陣が球界のさまざまな事象に提言する今回の「野球塾」は、タテジマ一筋22年、4番や代打の神様で一時代を築いた桧山進次郎氏(49)が登場。交流戦に向け、阪神のキーマンと目指す野球を指南しました。【取材・構成=松井清員】

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阪神の交流戦のキーマンは4番の大山です。このタイミングで5番の福留が故障離脱してしまったことが大きな要因です。これまでは“5番の福留に助けてもらいながらの4番”だったと思います。相手からすると、1発もあって一番怖い福留の前に、1人でもランナーを出したくない。四球を与えたりして福留に回したくない。つまりはその分、大山には甘い球が行くことが多かったと思います。

でも福留がいなくなると、5番にそれ以上の打者が入ることはありません。今度は、相手が4番大山を抑えにくるわけです。内外角や高低、配球など、攻めは今まで以上に厳しくなるでしょう。これに大山がどう対応して、自分の力で道を切り開いていくか。もちろん大山も試合を重ねるたびに着実に力をつけています。ここを乗り越えれば真の4番に近づき、チームも白星が量産できるとみます。

ただ福留不在は大きく、得点力の低下は否めません。広い甲子園をホームとする以上、大山らが挙げた数少ない得点を、投手を中心に守り勝つ野球の徹底が求められます。2日の広島戦はアドゥワの不調を逃さず1イニング7点で試合を決めましたが、これはレアケース。本来目指す姿と錯覚してはいけません。守るべきところで守り、いかに2点差ぐらいの競ったゲームができるか。接戦に持ち込めば、12球団一の自慢のリリーフ陣がいるので、おのずと勝つ確率は上がります。

交流戦は3連戦が6回の短期決戦で、3連勝もあれば3連敗もあり得ます。阪神が負けても他のセ5球団が全部勝つこともあるので、リーグ内のゲーム差も広がりやすく、ペナントを左右するポイントになりやすいのも特徴です。今年もパ・リーグが強そうですが、阪神が目指す目標は5割。大山に期待の3週間です。