名伯楽の魔法の言葉が、またしても幕を引いた。9回2死二塁、DeNA大和内野手の打球は右翼手の頭上を越えた。

19日の日本ハム戦に続く、2カード連続のサヨナラ打。お立ち台で「(田代コーチに)『回ってきたら頼む』と言われたので頑張りました」と感謝を述べた。

勝利のプロデューサーはベンチでニッコリと笑う田代富雄チーフ打撃コーチ(64)だ。伏線は2日前にさかのぼる。19日の日本ハム戦の9回。同コーチは打席に入る直前の大和にささやいた。「大和、おなかすいたから、この回で決めてくれ」。一言で肩の力を抜かせると初球を捉えて試合を決めた。「あの時は、試合に勝ってうまい酒を飲みたいなと思ってたんだよ。でもそうは言えないから、腹減ったと(笑い)」。家に帰ると麦焼酎の水割りをキュッと流し込んだ。この日はナイターで、22日はデーゲーム。「みんな、早く帰って休んだ方がいいだろう」と直球で思いを伝えた。

不振だったロペスも5戦ぶりの1発を放った。早出練習でともにフォームを確認。質問を受ければ「ロペス、おまえほどの選手がそんなに悩むのか。大丈夫だ」とモチベーションを上げてきた。まさに「オバQ」マジック。「今夜は疲れたから早く寝るよ」。勝利の寝酒を楽しみ、朝一番の練習に備える。【島根純】