阪神原口文仁捕手(27)が、2打席連続本塁打をかけた。全セの「7番DH」で先発出場し、先頭打者で迎えた2回の第1打席。西武高橋光の5球目、真ん中146キロ直球をフルスイングした。打球は大歓声に包まれ、左翼スタンドに吸い込まれた。第1戦での9回代打2ランから連発。「まさか打てるとは思ってなかった。打球が飛んだ瞬間、いったと思いました」。本拠地甲子園でまたもヒーローになった。「たくさんの歓声をいただきながら甲子園のダイヤモンドを1周することができて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」。ベンチ前で豪華な味方ナインに出迎えられた後、球場全体に帽子を取って一礼で感謝を伝えた。

最後の出場選手をファンが決めるプラスワン投票で選出された夢舞台。原口もファンと同じく、他球団の一流選手のプレーを楽しみにしていた。注目選手にはパ・リーグの主砲で同学年の西武山川を挙げ「やっぱりあれだけ素晴らしいホームランバッターなので楽しみ」と目を輝かせ、第1戦の東京ドームでは2人で話し込む姿があった。第1戦で本塁打を放った山川を上回る2戦2本。原口もまた、ファンに憧れを抱かれる活躍で奮起した。

ドラマのような2試合を終え「1番は野球を楽しむ。自然と笑顔が出て、野球を始めた頃に戻れた2日間だった」。第1戦の敢闘選手賞(100万円)と、この日受賞したマイナビ賞、ツイッター賞(各100万円)合わせて計300万円をゲット。試合前に「娘のおむつ代とミルク代になるのかな」と話していた賞金は3倍となったが「余らないんです。(娘が)大きくなるので」と優しいパパの顔をのぞかせた。

大腸がんを乗り越えて、実戦復帰し、球宴でも日本中に感動を届けた。最後に子どもたちへの思いを口にした。「野球をやれることが当たり前ではないので、子どもたちには一生懸命、野球に勉強に頑張ってほしい」。全力プレーで体現したメッセージだった。【奥田隼人】