巨人が元とび職の足のスペシャリストの活躍で4連勝を決め、首位固めを加速させた。プロ3度目のスタメン出場の増田大輝内野手(26)が、プロ初の決勝打となる2点適時三塁打。武器の足でも二盗、三盗を成功し、勝利に貢献した。

長年の課題の二塁争いに、今季は若手が次々と台頭。刺激し合いながら、チーム力を底上げする。今季6度目の同一カード3連勝で、8年連続の阪神戦の勝ち越しを決めた。

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原監督から送られたシグナルに、増田大が見事に応えた。0-0の4回1死一、三塁、2球で追い込まれたが、冷静にボールを見極め、フルカウント。エンドランのサインに、一塁走者のゲレーロがスタートを切る。「ゾーンに絞って、食らいついた」と低めのスライダーをひろって、左翼へ2点適時三塁打。プロ5本目の安打で2本目の三塁打を放った。

迷いなく、快足も飛ばした。3点リードの6回無死。四球で出塁し、初球に二盗を決めた。さらに、原監督がともしたグリーンライトに呼応。元とび職の韋駄天(いだてん)は跳ぶようにステップを踏み、直後の2球目にチーム最多タイ10個目の三盗をいとも簡単に決めた。本塁までは届かずも、度肝を抜く“神走塁”に指揮官から「見事ですね」と絶賛された。

鮮やかな連続盗塁の裏には、冷静な観察眼が光った。5回の守備から捕手が坂本から原口にシフト。自分が可能と判断したタイミングで走る「グリーンライト」のサインに、増田大は「アウトになっちゃいけない場面」と肝に銘じた上で「捕手が代わったのでチャンスかなと。初球から思い切っていった」。

チームとして、長年の課題の二塁手争いに、今季は若林、山本、田中俊と93年生まれの若手が次々と台頭する。シーズン終盤を前に、増田大が今季3度目のスタメンでアピール。4打数無安打に終わった5月5日広島戦から約3カ月半が経過し、この日は自身初の決勝打をマークした。原監督は「かなり成長した。チームにとっても、彼にとっても非常に大きいです」と競争の激化を歓迎した。

お立ち台では遠く離れた徳島で生活する妻、2人の子供たちに向け「パパ、やりましたぁ」と絶叫した。原監督から「けれん味のない野球選手というか、キップのいい野球選手」と評された育成出身の苦労人。5年ぶりの優勝に向け、「ラッキーボーイ」になる予感を漂わせた。【久保賢吾】

▼増田大が6回に二盗、三盗と連続成功。これで増田大は今季10盗塁となったが、内訳は二盗6個、三盗4個。三盗は6月19日オリックス戦、7月5日DeNA戦、同8日阪神戦、8月18日阪神戦とすべて成功させている(二盗は失敗2度)。巨人で三盗をシーズン4個以上決めたのは、二盗17個、三盗5個の02年仁志以来、17年ぶり。ちなみに、通算228盗塁の鈴木コーチは、三盗をシーズン4個成功させたことがない。

◆増田大輝(ますだ・だいき)1993年(平5)7月29日、徳島県生まれ。小松島-近大(中退)-四国IL・徳島を経て、15年育成ドラフト1位で巨人入団。17年7月に支配下登録。19年4月19日阪神戦でプロ初出場。50メートル走は5秒9。今季推定年俸500万円。172センチ、68キロ。右投げ右打ち。