中日アロンゾ・パウエル巡回打撃コーチ(55)が現役時代以来、23年ぶりにドラゴンズのユニホームに袖を通した。

中日での現役時代には3年連続首位打者を獲得し、OPS(出塁率+長打率)は4年連続で9割超え。「おっさん記者伊東が聞く」で、強竜打線復活への思いを話してくれた。

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-久しぶりに中日に戻って、感覚は変わったか

選手の立場だったら、自分のことしか心配しない。でも、今はコーチとして30人近い選手のことを考えないといけない。コーチとして戻ってこられて、すごくうれしい。強くなるサポートができればいいな。

-選手にはどういう指導を心がけているのか

日本の野球とメジャーの野球の違いはある。米国の考えと日本の考えを足して、いい結果を導きたい。

-コーチングで一番大切にしているのは

いい選手は、ベストなタイミングでしっかり振る。いかにいい球を振るかを伝えたい。選球眼は、人それぞれ違うので(選手)それぞれへのやり方、教え方を考えながら伝えたい。

-米国とのコーチングの違いは

あまりない。しっかり選手に教えることは変わらない。米国でも同じで、毎日話し合う。日本でも(1軍打撃コーチの)村上さん、栗原さん、(2軍打撃コーチの)波留さんと事前にミーティングをして、選手がより良くなるかを話し合っている。

-米国ではコーチとしてシングルA、トリプルAから上がってきた

各選手のレベルは違う。教えること自体は変わらない。選手のレベルは違うので、どう教えるか。経験を積んでいない選手には、経験を積ませてから話をする。でもみんなに言うことは変わらない。

-与田監督の監督像は

与田さんはすごく賢い。頭のいい選手でもあり、抑えとしてスーパースターだった。僕が日本を離れた後は、彼はNHKで働いていて、米国で会ったりした。よく昔の中日のことを語ったな。そんな中で日本で野球教室を開いたりもしたんだ。楽天でコーチをしていた時も会って、その時も賢い人だと思ったね。

-今の中日打線に必要なものは

打点を増やすこと。ヒットを打つことも大事だが、両方が伴わないといけない。まずバットに当ててヒットを生みだし、さらにその延長として長打を出せるような指導をしていきたい。

-ドラフト1位の石川昂をどう見ているのか

期待している。力強い、素晴らしいスイングをしている。あとは経験を積めばいいだけだ。

-2年目の根尾はどう評価しているのか

すごく自信を持った選手。スイングにも自信を持っている。若くてこれからの選手。経験もこれから積む。試合を重ねることで良くなれるよ。

-単身赴任は寂しくないか

野球人生が長いんで、野球が生活そのものだから大丈夫。選手の時はつらかったけど、今はソーシャルメディアでつながる。便利な時代なんで、悲しいとかはいっさいないよ。孫も5人いる。ソーシャルメディアで会話もでき、映像でも家族に会っているよ。

 

<取材後記>

1月の合同自主トレを視察に訪れたパウエルコーチにあいさつした。現役だった25年以上も前に取材をしたが、覚えてはいないだろうと思い、名刺を渡そうとした。

「ワカルヨ」。

へっ? 日本語の返事に、こちらがびっくりさせられた。記憶力の良さに驚いた。

横にふっくらしたが、歩く姿勢は現役時代と変わらない。今の中日は大島、平田、高橋、ビシエドら、首位打者候補の選手が居並ぶ。昨季、リーグ1位のチーム打率を誇った中日打線。現役時代3年連続首位打者を獲得したパウエルコーチの勝負強さが伝授されれば、強竜打線の得点力は増すはずだ。【中日担当=伊東大介】

 

◆アロンゾ・パウエル 1964年12月12日、米国サンフランシスコ出身。エクスポズ、マリナーズで活躍後の92年5月に中日入団。94~96年まで助っ人史上初の3年連続首位打者を獲得。98年に阪神に移籍し、シーズン途中に退団。帰国後も米国で現役を続け、01年の引退後はマリナーズ、ジャイアンツで打撃コーチなどを務めた。NPBでは通算710試合出場、打率3割1分3厘、116本塁打、397打点。