全日本大学野球選手権第2日は8日、神宮と東京ドームで行われ、28年ぶり出場の関学大(関西学生)が1964年以来、57年ぶりの勝利を挙げた。開かずの扉をこじ開けたのは、今秋ドラフト候補のエース左腕、黒原拓未投手(4年=智弁和歌山)だ。松山大(四国地区)との1回戦(神宮)で7回を1失点、8奪三振の力投をみせ貢献した。

自己最速151キロの剛腕だが立ち上がりは球が上ずって制御に苦しんだ。「絶好調ではなかった。佐藤が打者をよく見てうまくリードしてくれた。神宮は初めて。いい球場で、自分らしく伸び伸びやろうと」。4回に4安打で1点を失ったが、その後は最速147キロの速球とチェンジアップなど緩急の巧みさが光った。

春季リーグは防御率0・88でMVPに輝き、28年ぶりの春の全国に導いた。力投に熱視線を寄せたのは12球団スカウトだ。地元の阪神は8人が視察した。今年は「左投手」が補強ポイントで、嶌村球団本部長も「念頭に置いてます。全国的に大学、社会人でいい左投手が数人いる。その中の1人。いろいろ見て決めたい」と認めた。本調子でなくても非凡さを示した。

全国に覇を唱え、先制打の杉園大樹主将(4年=明豊)は「関学は弱いイメージを持たれているが、払拭できた。デカイ1勝」と言った。一丸ナインの中心に黒原がいる。【酒井俊作】

▽ロッテ永野プロ・アマスカウト部長 左でこれだけの真っすぐを放れて、空振りを取れる球がある。投げ方も悪くない。

▽DeNA安部スカウト 真っすぐにいい球があるし、変化球もいいものを持っている。変化球も使い始めた5回くらいから本来の投球をできていた。

▽阪神畑山アマ統括スカウト 左投手で球速も出る。本来はコーナーに、両サイドに投げられる。左投手が今年は(ドラフト候補に)います。クロスチェックをして、ランクもこれから。見られて良かった。

▽松山大・池田幸二郎監督(関学大に完敗)「四国のチームが全国で戦うには四死球やエラーをなくさないといけない」