“世界の王”の足跡が目前だ。ヤクルト村上宗隆内野手(21)が、6回1死一塁で、39号2ランを放った。本塁打リーグ単独トップ、打点もトップタイに並んだ。チームが首位を走る中、決勝のアーチで、優勝マジックを8に減らした。40本塁打に到達すれば、史上最年少記録。自らのバットで優勝に導く。

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忘れかけていた会心の当たりだった。村上は同点の6回1死一塁、高めの130キロカットボールをフルスイング。広いバンテリンドームの逆方向、左翼席へ打球を突き刺した。左翼方向への1発は9月24日中日戦(神宮)以来。「久しぶりすぎてレフトフライかと思った」。一塁をまわり、打球の到達点を確認すると、右手を力強く握った。

シーズン40本塁打の最年少記録は63年王(巨人)、85年秋山(西武)の23歳。00年2月生まれの村上は、あと1本で最年少記録となる。今季は史上最年少での通算100号も達成。シーズン最年少100打点にも到達し、記録を塗り替え続ける。飛躍の1年。それでも、まだ超えられる壁はある。目前に迫った大打者たちの成績。「残り試合1本でも多く打てるように頑張りたいと思うし、そこが達成できたらいいなと思う」と静かに意気込んだ。

14戦ぶりの1発と間隔が空くも「何も思ってないです。普通にやっていました」と焦りは一切なかった。個人成績のためにではなく、チームのためにバットを振る。優勝チームの4番になりたいという目標を実現すべく、貪欲に結果を求めている。優勝マジックは1つ減って8。「とにかく今はチームが優勝することしか見えていないし、そのために僕が打点を稼げればなと思っている。最後に結果がついてくるかなと思います」と前を向いた。【湯本勝大】

 

▽ヤクルト高津監督(村上の本塁打に)「レフトにああいう当たりというのはなかったので、会心の一発じゃないですか。ああやってランナーを置いて一振りで点を取ってくれるので、大きい1発だった」