4試合ぶり、今季5度目のスタメンで起用されたDeNA知野直人内野手(22)が、抜てきにこたえた。2番遊撃で出場すると、第1打席は二塁ゴロ、第2打席は空振り三振と空回りした。

本領発揮となったのは5回の第3打席だった。1死満塁から左前適時打。床田の140キロのスライダーを初球から積極的に打ちにいった。「気持ちで打ちました。絶対打つんだと強い気持ちを持って打席に入りました。タイムリーになりうれしいです」。プロ通算3打点目に声をはずませた。

前日にクライマックス・シリーズ(CS)進出の可能性が消滅した。三浦大輔監督は試合前に「残り9試合で、若手に経験を積ませるということも考えていく。ボール自体も1軍の投手、打者は変わってくる。対戦はいい経験になる」と話していた。だが、こうも付け加えた。「でも競争ですから。何でもかんでも(チャンスを)与えるわけにはいかない」。当然のことながら、次につながる結果を出す必要に迫られていた。

三浦監督は試合後、知野の打撃について語った。「1、2打席目の内容はよくなかったが、満塁の場面で積極的にいけて、結果につながったのはよかった。本人の懸ける思いも強いと思う」。4回までの打撃結果に下を向かず、初球から打ちにいき、適時打とした精神の強さを評価した。

知野は高校時代、聖光学院から第一学院に転校し、BCリーグ・新潟をへて入団したプロ3年目の内野手だ。今季は5月にプロ初アーチを放ったが、五輪中断の7月15日に登録抹消。エキシビションマッチでは8月12日まで1軍に同行していたが、地元の新潟で行われた同15日の後半戦開幕時は2軍に降格していた。その後、ファームで結果を残して9月22日に1軍に再昇格したばかり。182センチ、85キロの大型内野手は、今回のチャンスをつかむべく、目の色を変えている。【斎藤直樹】