優勝の可能性が完全に消滅した楽天は、不動の体制を貫く。石井一久GM兼監督(48)が来季も同職を務めることが19日、分かった。球団から全幅の信頼を寄せられ、昨オフに複数年で契約を結び直していた。

監督初年度の今季はここまで開幕から1度も借金を背負うことなく、3位以上をキープしている。シーズン終盤まで優勝争いに絡み、9勝を挙げる新人の早川をはじめ、山崎剛、辰己、渡辺佳、太田、安楽、西口ら若手を勝負どころで起用。目の前の1勝を求めながら、未来へつながる経験も積ませた。

補強、トレード、ドラフトではGMとしての手腕を発揮してきた。昨オフは米ヤンキースから8年ぶりの復帰となった田中将の交渉をまとめた。7月には巨人からトレードで炭谷を獲得。11日のドラフト会議では、昌平(埼玉)・吉野を1位で単独指名。独自路線での戦略はスカウトと緻密に情報共有し、チーム状況とすり合わせ、兼任監督の優位性を生かした。18年9月のGM就任時から求める「短・中・長期的結果」を一身に背負う。

この日のオリックス戦に敗れ、優勝の可能性が消滅した。それでも“全権監督”の下、常勝軍団への礎は着々と固められている。明確に定めたビジョンに沿って、不動心で進めていく。