オリックスが「SMBC日本シリーズ」第4戦も競り負けて3連敗、ヤクルトに王手をかけられた。1点を追う6回に敵失で追いついたがその裏、比嘉がオスナに勝ち越し打を浴びた。後がない中嶋聡監督(52)は第5戦の先発について「何で言わなあかんの? ヤマ!」とユーモアを交えて回答。中4日で山本由伸投手(23)も考えられたが予定通り、今季8勝の山崎福也投手(29)でまずは胴上げ阻止に全力を尽くす。

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3連敗で崖っぷちに追い詰められた。だが、オリックス中嶋監督はファイティングポーズを崩さなかった。「あと1個負けたら終わりなので…。もう全力でやるだけです」。ヤクルトに王手をかけられたが、パ・リーグ王者の意地がある。

この日は、41歳石川の緩急自在の投球に翻弄(ほんろう)された。奪った得点は敵失の1点だけで6回まで3安打。「本当に投球術ですよね。打ち取る術というか、さすがだと思います。もう少し(狙いを)絞っていけたのかなと。考えがまとまらないうちに手を出してしまった。ミーティングしているはずですけど、うまくできてないのかな」。通算177勝のベテラン左腕に脱帽だった。

初戦は吉田正のサヨナラ打で勝ち星を奪ったが、その後3連敗。全て2点差以内の競り負けだった。だが、指揮官は「接戦ですけど、しっかりやれてない部分がある。そういう風(接戦)には感じてない」と点差以上の開きを感じていた。

第5戦は煙幕作戦に出る。取材の最後に「明日の先発投手は?」と問われた指揮官は「何で言わなあかんの? ヤマ!」と笑わせ、立ち去った。チームの「ヤマ」は、今季8勝の山崎福、沢村賞の山本、この日救援要員でベンチ入りした山岡、リリーフ左腕の山田、そして山崎颯がいる。負ければ終戦だけに、初戦で快投した山本は十分な候補になる。だが、プロでは中4日を経験しておらず、次戦は中6日で27日の第6戦に回すとみられる。第5戦は当初の予定通り、山崎福の先発が濃厚だ。

阪急時代を含めて、シリーズ1勝3敗は5度あるが、日本一は球団史にない。ただ、幾多の逆境を乗り越え、25年ぶりのVを勝ち取ったチームだけに、もちろんネバーギブアップ。3つ勝てば、ほっともっと神戸で歓喜の胴上げができる。まずは第5戦でヤクルトの胴上げを阻止し、夢をつなぐ。【真柴健】