注目のルーキーは明確なテーマを持ってブルペンに入った。西武ドラフト1位隅田知一郎投手(22=西日本工大)はキャンプ初日の1日、カーブも織り交ぜながら31球を投げた。

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まずは捕手の牧野を立たせて15球の後、座らせて16球。強く意識したのは、右打者の外角ストレート。「力が逃げないで強い球がいくように」。シュート回転しないよう感覚を研ぎ澄ませた。

1球だけ牧野から「少しシュート」と指摘された。ただ、修正できる。その後は回転のいい真っすぐがミットに吸い込まれた。どの球種でもストライクが取れる多彩な変化球のイメージも強い。ただ、変化球は直球が威力を持ってこそ生きるとも知る。そして高い次元の質を追求する。「ストレートをどこまで伸ばせるかをやっていきたい。納得いかなくても、ファウルや空振りが取れたらいい。シーズンを通して毎回絶好調はない。調子が良くなくても打ち取れる、空振りを取れるストレートを目指したい」と描く姿を語った。

ブルペンでは「平常心」もテーマだった。捕手を見ると、視察に来ていた松坂大輔氏が視界に入った。「オーラから違う」。WBC、メジャーで活躍した姿はよく心に刻まれる。高揚感、緊張感を抑え、心を落ち着かせていた。投げ終えると、偉大な投手に少しでも近づけるような成長を誓った。「手の届かないところにいらっしゃいますけど、1歩でも近づけるように。自分も投げきれなくなるまで頑張りたい」。松坂氏が現役最後の2年で背負った背番号16を継承する。その重みもかみしめ、エースに育っていく。【上田悠太】

○…辻監督はドラ1、ドラ2のルーキー左腕に「戦力になってもらいたい」と高い期待を込めた。ただ隅田の投球は「力が入ったような感じ」とも感じた。それで本人に聞くと「ちょっと後ろに松坂さんがおられたので」と言われたという。佐藤については「いい球を放るな」と評価。この日は、A班の投手陣14人全員がブルペン入りした。