来季開幕投手争いに、早くも名乗り!? 日本ハムの変則右腕、鈴木健矢投手(24)がプロ3年目で初先発し、自己最多の105球を投げ、7回途中8安打2失点でサヨナラ勝ちを呼び込んだ。

これがBIGBOSSがかけた、魔法なのだろうか。入団以来、一貫してリリーフだった右腕が首脳陣の期待を上回る投球。次戦も先発起用を即断した新庄監督は「打ちやすそうで、打てない。次も今日ぐらいのピッチングをしてくれたら、来年の開幕投手、あるんじゃないですか?」と、早くも大役候補に挙げた。

投げている本人ですら「3回からは未知の領域。まさか、7回途中まで行けるとは」と驚いた。2軍で先発調整した際も、2イニングで降板。本格的な先発登板はJX-ENEOS(現ENEOS)時代の18年以来、4年ぶりだった。試合前に「“のらりくらり”でいい。なんとか、長いイニングを投げてもらう。10点以内に抑えてもらえたら」と新庄監督から励まされた鈴木は「気が楽になった」。1回に源田、森に2連続二塁打されて先制を許したが、4番山川を筆頭に右打者は、ほぼ封じた。

もともと横手投げ。今春のキャンプで、ロッテで活躍した名サブマリン渡辺俊介が大の苦手だったというBIGBOSSから、下手投げ挑戦を提案された。今では横、下と変化自在だが、この日は、主に下手投げを選択。鈴木は「クイックを使ったり、うまく緩急を使えた」。最速は130キロ台前半、90キロ台のカーブにスライダー、シンカーで山賊を撃沈したのだから、痛快だった。チームは今季5度目のサヨナラ勝ちで、首位たたきに成功した。【中島宙恵】

◆鈴木健矢(すずき・けんや)1997年(平9)12月11日生まれ、千葉県袖ケ浦市出身。木更津総合で3年春のセンバツ出場。JX-ENEOSでは1年目から公式戦に登板し、社会人日本代表にも選出。19年ドラフト4位で日本ハム入団。20年6月23日楽天戦でプロ初登板。今年6月26日ソフトバンク戦で初勝利。今季推定年俸1050万円。176センチ、80キロ。右投げ左打ち。