履正社の最速151キロ左腕、福田幸之介投手(3年)は中日に4位で指名された。福田の名前が呼ばれるとチームメートから歓声が上がった。「素直にうれしい。やったーという感じ」。母寿子さん(44)、姉菜乃さん(20)と喜びをかみしめた。

今夏の大阪大会決勝では今回ソフトバンク1位指名の大阪桐蔭・前田悠伍投手(3年)と投げ合い、3安打完封。一躍注目を浴び、春夏連続甲子園出場に導いた。強さと重みのある直球で真っ向勝負する投球スタイルが持ち味。会見で真っ先に口にしたのは「お母さんに恩返しがしたい」だった。

母の寿子さんは送迎や食事管理だけでなく、常に笑顔で見送ってくれた。練習前には毎日「今日もがんばりや」と連絡をくれる。福田は「苦労するそぶりを一切見せず、常に明るく振る舞ってくれる。自分より母が頑張っているので、より頑張らなあかんなと思います」。母の姿が力になった。

これまで「思春期で恥ずかしかった」と感謝の言葉を直接伝えることはなかった。だが、2年時に就任した多田晃監督(45)は母の日に手紙を渡すことを選手たちに提案。「野球ができることが当たり前じゃない。ありがとう」。精いっぱいの感謝を手紙につづった。寿子さんは「初めてだったのでうれしかった」と喜んでくれた。

左腕は「言葉にしないと伝わらない。恩返ししきれてないので、まずはプロで1軍の試合に出て、もっと恩返ししたい」と活躍を誓った。身長180センチの大きな背中で少し照れくさそうに笑みを浮かべた福田。母と二人三脚で歩んだ18歳は、プロの舞台へ飛び込む。【村松万里子】