首都大学野球の東海大は12日、平塚市内の同大グラウンドで今年初めての全体練習を行った。1月1日に就任したばかりの元横浜大洋で同球団スカウト、巨人スカウトなどで活躍し、昨年まで巨人女子チーム助監督を務めたOBの長谷川国利監督(61)が初指導した。
朝4時-。長谷川新監督は、初指導への緊張からか。いつもよりも早く目が覚めた。待ちに待ったこの日だった。すべて新調した、という東海大の練習着、ジャンパーにアップシューズを、40年ぶりに身にまとうと「身震いしましたよ。あらためて頑張ろうと思いましたね」と、笑みがこぼれた。練習では選手たちの動きに細かく目を配り、声をかけた。キビキビした選手たちの動きを前に「あまりある光栄。プレッシャーもありますし、非常に自分の中ではキリッとしています。身がしまる思いです」と、監督就任への思いを口にした。
現在、東海大は22年秋以降、日体大に3連覇を許し、優勝から遠ざかっている。首都大学野球リーグでは優勝75回を誇り、元巨人監督の原辰徳氏をはじめとして多くのプロ野球選手も輩出している。長谷川監督は現役引退後、30年間、横浜大洋(現DeNA)、巨人でスカウトを歴任。付属高校始め、全国の高校との交友関係も広い。選手のスカウトなどにも、期待は大きい。「まずは明るいチームを作りたい。戦力的には投手力の底上げが最優先」と話し、早くも投手陣には2月26日からの沖縄キャンプに向け、投げる体力づくりを指示した。
年明け早々引っ越しを済ませ、これからは選手とともに寮で生活をする。近々、全員の面談も予定。長谷川監督専用のトンボも発注した。「グラウンド整備をしながら、選手といろいろ話もできるでしょう」。コミュニケーションにも積極的だ。
偉大な先輩たちの歴史を引き継ぐ覚悟だ。原辰徳氏には元旦に連絡した。「初日の出のように、まっすぐ思いきり頑張ってくれ」とあたたかい言葉をかけられ、気持ちを新たにした。「やってやろうという思いしかない。OBとして、母校には感謝しかない。恩返しできるのであればどんなことでもやる。選手たちは後輩になりますから。背中を押してあげたいし、また逆に僕の背中も押してもらわないとね」。選手とともにチーム一丸をアピールした。
目指すはリーグ優勝、そして日本一だ。「選手たちとともに優勝を目指してやりたい」新体制の下、強豪・東海大復活へ。長谷川東海大が動き出した。
助監督には元トヨタ自動車監督の田中大次郎氏(55)。コーチには元オリックスで同球団、楽天、金沢学院大でコーチを務めた酒井勉氏が就任。この日、ともに全体練習に参加し指導を開始した。