新星左腕が快進撃に続いた。楽天ドラフト1位の古謝樹投手(22)が、プロ初勝利を挙げた。「日本生命セ・パ交流戦」の中日戦でプロ2度目の先発。6回88球、9安打2失点3奪三振と力投した。打線は1番小郷裕哉外野手(27)が、2回にプロ初の4号満塁弾を放つなどルーキーを援護。チームは今季最長の5連勝で、球団初の交流戦の開幕から4カード連続勝ち越しを決めた。交流戦首位の座も守り、最大9あった借金も1まで減らした。

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古謝が笑顔でウイニングボールを握りしめた。プロ2戦目のマウンドは敵地名古屋。初回に福永の先制ソロなど2点を先行され、終始走者を背負う苦しい展開だった。逆境を乗り越えての初勝利に「うれしいのひと言です」。勝ち投手の権利がかかる5回は、1死一、二塁からカリステをツーシームで注文どおりの遊ゴロ併殺。渾身(こんしん)のガッツポーズを決めた。

湘南学院入学時はプロ入りする姿が想像できないような165センチ、50キロほどの小柄な少年。最速も130キロに届かなかった。それでも、磨けば光ると感じた同校臨時コーチだった元横浜高部長の小倉清一郎氏が「彼を育てなきゃダメ」と本萱(もとがや)昌義監督に進言。「ロッテの成瀬みたいな投げ方にするぞ」と70センチ幅のネットとネットの間で投げ込む練習を伝授し、現在のテイクバックの小さい、出どころの見づらいフォームの礎を築いた。

「自信がない」が古謝の口癖だった。2年時の冬に進路希望調査があった。当時は腰を負傷。まともに投球できなかったこともあり、第1希望にホテルマンと書いた。「野球は自信がない」と大学ではなく、ホテル系の専門学校への進学を望んだ。高校入学前も「自信がないので、やっぱり公立高校に」と発言するほど。桐蔭横浜大でも「甲子園に出たピッチャーが何人もいて、自分はベンチにも入れない」と弱音を吐いた。そんな左腕もプロ1勝で自信がついたか問われると「そうですね」と即答した。

名前の樹(たつき)には「大きな樹木のように大きな人間になってほしい」との思いが込められているという。「やっとプロでの1歩っていうか、始まったかなっていう感じはするんで、この1勝に満足することなく、これからもひたむきに頑張っていこうかなと思っています」。めきめきと成長し、プロの舞台でスケールの大きい選手を目指す。【山田愛斗】

◆古謝樹(こじゃ・たつき)2001年(平13)8月18日生まれ、横浜市出身。湘南学院では甲子園出場なし。桐蔭横浜大で2年春にデビューし、4年春のリーグ戦では5勝0敗、防御率1・82でMVP。23年に大学日本代表に選出。同年ドラフト1位で楽天入団。今年5月25日日本ハム戦で1軍デビュー。今季推定年俸1600万円。182センチ、75キロ。左投げ左打ち。

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