CSの秘密兵器だ! 阪神育成ドラフト1位ルーキーの工藤泰成投手(23)が、3カ月ぶりの1軍で3者連続三振の快投を決めた。中日戦の8回に2番手で登板。最速159キロの力強い真っ直ぐを軸に3番上林、4番細川、5番福永の中軸を圧倒した。9回は同じく3カ月ぶりに登板した2年目の椎葉剛投手(23)が1回をぴしゃり。ポストシーズンの戦力を猛アピールした四国IL徳島出身の右腕コンビが、0-1敗戦ゲームで光り輝いた。

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1球1球に虎党がどよめいた。約3カ月ぶりの1軍マウンド。工藤は1死から対峙(たいじ)した中日細川に、フルカウントから2球連続で159キロの直球を低めに投じた。細川は全く手が出ない。背番号24はこの日一番の大歓声を浴びた。「気持ちいいっすね」。帰ってきた剛腕ルーキーは自信も取り戻していた。

0-1の8回。6月4日の日本ハム戦以来の1軍登板が巡ってきた。まずは先頭の3番上林を145キロ落ち球で空振り三振。4番細川は159キロ直球で見逃し三振。勢いそのままに、5番福永も143キロ落ち球で空振り三振に斬った。「3、4、5番だったのでいく前から気を引き締めていた」。中軸から渾身(こんしん)の3者連続三振。見せ場なく敗れようとしていた甲子園が沸き返った。

今春のキャンプ、オープン戦で快投を続けて支配下を勝ち取り、育成出身で球団初の開幕1軍をつかんだ。だがプロの壁にぶつかって失点が重なり6月5日に2度目の降格。その後はファームでも不調が続いた。

1軍復帰へのヒントは、ホロ苦のプロ初登板となった3月29日の敵地広島戦にあった。押し出しを含む3連続四球で、1回を投げ切れなかった。長い2軍生活で教訓を思い起こし、球威があるのだから、細かいコースは気にせず、ストライクゾーンを9分割ではなく“1分割”でイメージすれば良いのだと考えを改めた。「ストライクゾーン1つ、というイメージです」。

今月10日の2軍オリックス戦。延長10回タイブレークの無死一、二塁から、“1分割”の意識で3者連続三振に抑え、好調だった春先の感覚を体現できた。手応えをつかんで11日に再昇格。満を持した1軍マウンドで「『やってやろう』という気持ち。ゾーンでどんどん空振りやファウルを取らせていこうと」と持ち味を発揮。ゾーンに投げ込むことを意識することで体の力が抜け、KKKという最高の結果がついてきた。

9回は同学年の椎葉が投げ、1軍で初めて2人で四国IL徳島出身リレーが実現した。3者凡退に斬った両右腕に藤川監督は「焦らないこと。自分のやるべきことがきたら仕事をする、投げることのみに集中をすることですね」と成長を期待した。工藤も「一喜一憂せず、次もしっかり3人で」と気合十分。CS、日本シリーズへ、絶好のアピールとなった。【塚本光】

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