阪神佐藤輝明内野手(26)が大爆発した。先制&決勝二塁打に37、38号の2打席連続2ランで計5打点。今季96打点でキャリアハイを塗り替え、入団5年目までの通算打点を406として長嶋茂雄(巨人)を抜き去った。40本塁打、100打点はもう目の前。チームはすでに優勝を決めているが、「消化試合」とは思えない熱狂を甲子園に呼び込んだ。阪神は連敗を2で止め、12球団最速で80勝に到達した。。
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消化試合をこんなに熱くしてくれる男は他にいない。佐藤輝がキャリア10度目の1試合2発以上。85日ぶりのデーゲーム開催となった甲子園は、怪物スラッガーの独り舞台となった。
初回に左中間フェンス直撃の先制二塁打を放つと、もう止まらない。まず1発目は3回1死一塁。「いいコンタクトができました。いいところまで飛んでくれました」。松葉のチェンジアップをはじくと、右中間最深部のスタンドに向かって一直線だ。9月中旬になり、右翼への打球を押し返す「浜風」は少し和らいでいた。失速せず、びっしり埋め尽くされた客席に吸い込まれた。優勝決定後1本目の御礼アーチだった。
2発目は5回2死一塁。近藤の直球を打ち上げた瞬間、ため息が上がった。左飛か…。だがボールが落ちてこない。次第に大きくなる歓声に押されるように、左翼ポール際に飛び込んだ。もう、あきれるしかない。どよめきはいつまでも収まらなかったが「あそこは甲子園で一番入りやすいところ」と平然と話した。
今季2度目の1試合5打点で96打点に伸ばした。入団5年目までの通算打点で、6月に亡くなった「ミスター」こと長嶋茂雄の404を一気に超える406打点を記録した。「時代が違いすぎますが、よかったです。本当に偉大なプレーヤーだったんだろうなと感じています」と謙遜した。
敬老の日だった。「よかったです。(祖父への思いは)常にありますから」。昨年9月、宮城に住む祖父の勲さんが他界した。1年目の楽天戦で、球場のフェンス越しに「テル!」とお小遣いを手渡そうとした、優しいおじいちゃんだ。大の野球好きで、帰省のたびに特訓してくれた。プロ入り前から何度も空路で関西まで応援に来てくれた。スケールの大きな選手に、と願っていた。その思いに応えて、全国の老若男女を喜ばせる強打者に成長した。
年間38本は阪神では歴代9位タイ。40発、100打点はすぐそこだ。「もうちょっと(試合が)あるので、いけるところまでいきたい」。投高打低の時代に現れた怪物が、1段上のステージに足を踏み入れようとしている。【柏原誠】



