阪神近本光司外野手(30)が、CSに続いて「足」で試合を動かした。0-1の6回に先頭で中前打。セの4年連続盗塁王に相手は最大級、警戒している。それでも、けん制球をはさんで中野の初球、有原の背後で完璧なスタート。余裕の二塁セーフを決めた。

有原との対戦は6年ぶりだった。前の打席で左前打を放ち、一塁からじっと様子をうかがった。「ある程度、タイミングとかを見ていた。でも警戒されているし、シチュエーションもあって…。勇気が勝ったという感じ。勇気は大事です」。いたずらっぽく笑ったが、根拠のある初球盗塁だったのは疑いようもない。

重い空気は吹き飛んだ。中野はバント安打と二盗。無死二、三塁から森下の遊ゴロ、佐藤輝の二塁打で逆転劇が完成した。まさにDeNAとのCSファイナルの再現だった。0-0で進んだ初戦の6回。あっと驚く三盗を決め、難敵東のリズムを崩して先制点を奪った。シリーズ3連勝の流れを作ったMVPとも称されたビッグスチールだった。

短期決戦に強いのはコンディション調整のうまさと研究だ。「結局は自分がどんなプレーをするか」が口癖だが、研究の労力は惜しまない。2年前の日本シリーズでは初戦でエース山本由伸を打ち崩すなどMVPに輝いた。この秋も爆発の予感が漂う。「しっかり粘って自分たちの野球ができた。勝ちにつながったのが大きい。また明日は明日で頑張りたいです」。日本一をつかんだ時、あれが「起点」だったと思わせるであろう会心の足攻めだった。【柏原誠】

【関連記事】阪神ニュース一覧はこちら―>