監督、一局お手合わせ願います-。日本ハムのドラフト5位、新垣勇人投手(27=東芝)が栗山監督に挑戦状だ。9日、千葉・鎌ケ谷市の「勇翔寮」に入寮。持参したのは、職場の同僚からプレゼントされた脚付きの立派な将棋盤だった。腕前は「初段くらいだと思います」と自信あり。「栗山監督とやりたいです」と12球団最年長ルーキーは、臆することなく先手を打った。

 将棋は大学3年から本格的に始めた。友人に誘われ「全然できなかったけど、意地を張ってやったら負けた。それが悔しくて」と、最初の1敗がのめり込むきっかけになった。指し方を覚えていくうちに、野球に対する考え方も奥深くなった。「将棋は差す手に選択肢があって、ベストを選ぶ。野球でもそうだなと思った」。一手、二手と先の打者心理を読み解くようになった。

 棋風は野球のプレースタイルに通じている。得意戦法は「居飛車の矢倉ですね」。飛車の位置を動かさず駒を動かし、王または玉を歩や金などで囲んで守る。「バランス良く、全部の駒を使わないといけない」スタイル。投球も同じだ。直球は常時140キロ前後だが、5種類の変化球を持つ。低めへの制球も加わり、多彩な攻めで打者を翻弄(ほんろう)してきた。

 将棋界初の7冠王となった羽生善治氏のファンでもある。「(寮には)できるだけ短く」と話す即戦力右腕は、憧れの棋士のようにプロ野球界で頂点を目指す。【木下大輔】