<オープン戦:ソフトバンク0-2ロッテ>◇20日◇ヤフオクドーム

 新球フォークで2年目のジンクスは無縁だ。ソフトバンク武田翔太投手(19)が先発し、昨年は投げていなかったフォークで翻弄(ほんろう)した。7回途中2安打2失点で負け投手にはなったが、6回まで1安打無失点と寄せ付けなかった。先発の柱と期待される右腕が10代最後の登板で、今年の投球スタイルを確立した。

 開幕前最後の登板で、武田が新球フォークを披露した。「試してみようと今日思いました。フォークのイメージを植え付けたかったので」とトレードマークの笑顔が輝いた。

 1回先頭の根元から、フォークで空振り三振を奪った。井口からは2打席連続三振。5奪三振のうち4つをフォークで仕留めた。

 新人で8勝を挙げた昨年は120キロ台の縦に変化するスライダーが決め球だった。他球団からの研究に備えて、130キロ台中盤で鋭く縦に落ちるフォークを磨いていた。「あまり落差はないのは分かっていた。バットの芯を外すくらいでいい」。同一リーグのロッテ相手に惜しげもなく披露し、手応えを得た。

 疲れの見えた7回にはフォークを見極められて3四死球で2死満塁。7番ホワイトセルには、それでもフォークで勝負を挑んだ。バットを折りながらも右前に運ばれ2失点。「打たれたのはしょうがない。最後は(相手が)振ってこなかったが、そう(意識)すると縦スラも生きてくる」とシーズンへの撒き餌として納得した。

 「九州のダルビッシュ」と呼ばれた宮崎日大時代にもフォークを投げていた。プロで活躍した昨年もずっと陰で練習していた。2年目に投球の幅を広げるためだ。定まらなかった制球は、春のキャンプで斉藤和巳リハビリ担当コーチと水田打撃投手に教わり矯正。浅く握ることで、コントロールできるようになった。

 秋山監督は「よかったね。そういう人(ローテーション投手)が投げている」と開幕ローテーションへ全幅の信頼を寄せる。新人だった昨年は100球制限があった。この日も101球投げ、7回につかまった。体力的には不安が残るが、向上心の強い武田に2年目のジンクスはなさそうだ。【石橋隆雄】