<阪神9-5ソフトバンク>◇18日◇甲子園

 風に乗った西岡の一撃が、猛虎打線に火を付けた。阪神西岡剛内野手(28)が2球目の外角ストレートをはじき返すと、フワリ、フワリと左翼スタンドまで伸びた。日本復帰後の第1号ホームランは、自身18本目の初回先頭打者アーチ。主役がベンチ前まで戻れば、ナインの動きに合わせて球場全体が立ち上がり「ウォー」。いまやファンにまで波及したお決まりのポーズで、猛虎を一気に勢いづかせた。お立ち台では、神妙に胸の内を明かした。

 西岡

 藤井さんが打ち、能見さんが打ち、僕だけ取り残されてたので、やっと打てたなという感じです。

 交流戦では前日まで3試合で1安打。チームも3連敗と悪い流れを断ち切ろうと、意気込んでいた。「1打席目が重要なので、何かインパクトのあることがしたかった。セーフティーバントも考えていた」。なんとかしようという気持ちが、連敗ストップの突破口を開いた。

 気分転換も図った。この日は屋外での試合前練習に参加せず、首脳陣によると室内練習場で打撃投手を相手に打ち込んでいたという。試合前にベンチ入りした西岡は「室内なんか行ってへんよ。連敗してるから、神社に手を合わせに行ってただけ」とジョークでごまかしていた。そんな願掛け?

 が見事にはまり「試合前に神社参拝したかいがありました」と大阪人らしく「かぶせ技」で喜びを表現した。

 この日はバットも変えて臨んでいた。普段使う920グラムのバットから、約880グラムの物に軽量化。「体が疲れてきてたんでね。打ててなかったので、気分転換しました」。もがく姿勢が最高の結果をもたらした。

 スタンドには親交のあるお笑い芸人たむらけんじが駆けつけていた。お立ち台で西岡が明かした。「多分この球場のどこかにたむらけんじが来てると思うんですよ。たむらけんじは初勝利なんで、おめでとう。もし見かけたら、たむらけんじを、やじってください」。ユーモアたっぷりに締めくくり、西武、ロッテ戦と続く東の地に向かった。【山本大地】