<中日5-4DeNA>◇13日◇ナゴヤドーム

 DeNA筒香嘉智内野手(22)が、中日15回戦の初回の守備で中堅梶谷と交錯し、救急車で搬送された。左中間に上がった打球を捕球しようとした際、梶谷と激突し、後頭部を地面に強打。その場で倒れ込み、球場に入り込んだ救急車で運び出された。名古屋市内の病院で検査した結果、脳振とうと頸椎(けいつい)振とうと診断され、そのまま入院。今日14日に出場選手登録を抹消される。得点圏打率トップ4割5分1厘の4番を欠いたチームは中日に敗れた。

 ナゴヤドームが静まり返った。試合開始から13分後の1回裏。中日の先頭大島が放った打球は、左中間に上がった。左翼・筒香と中堅・梶谷が懸命に追う。梶谷が落下点に入ったかに見えたが、両者が激突し、筒香の体は宙を浮き、後頭部が地面にたたきつけられた。グラブでつかんだ白球は右翼方向に放り出される形で打者大島は三塁まで進んだ。筒香はその場で倒れ込み、動けなくなった。

 三塁側ベンチからトレーナーが飛び出した。中畑監督やナインも駆け寄り、様子を見守る。意識はあったが、選手の手を弱々しく握り返すのがやっと。両軍のファンから「頑張れ!

 頑張れ!

 筒香!」のコールが起きたが、筒香の心拍数を落ち着かせるため、中畑監督が自らの帽子を取って、ファンを静まらせた。医師もその場で診察。その後、左翼フェンスの出入り口から入った救急車で名古屋市内の病院へ搬送された。

 試合は18分間の中断を経て再開となったが、動揺は広がった。筒香と交錯した梶谷は3回に適時打を放ったが、6回の守備では悪送球するなど判断ミスもあり、7回の打席で交代した。中畑監督は「打席でも守備でもうつろだった。切り替えないと。ショックとは思うが」と説明した。勝てば4位中日にゲーム差なしと肉薄する一戦だったが、逆転負けで最接近に失敗した。

 筒香は、脳振とうと頸椎振とうと診断された。中畑監督は試合後「報告では意識はあるみたいで、回復している。一安心という気持ち。一時は意識がなくて、呼吸もなくなるんじゃないか心配した」と神妙な表情で話した。この日は1日入院。今日14日に再検査を受けるが、結果にかかわらず出場登録を抹消する。中畑監督は「あの状況だから1週間から10日空ける必要があるが、長期離脱はない。若さに期待したい」と話した。チームにとって、得点圏打率12球団トップの4番不在は大きな痛手となる。【細江純平】

 ◆「脳振とう」と「頸椎(けいつい)振とう」

 脳振とうは、頭部に衝撃を受けた直後に意識や記憶の喪失、めまいやふらつき、頭痛などを伴う症状。頭痛がなくなってから完全に回復するまでに2週間以上の安静が必要とされる。また頸椎振とうは、体を強打したことにより脳振とうを起こしたような状態が首に起こる症状。体が麻痺(まひ)した後、しばらくの間、手などに障害が残るケースもある。