巨人坂本勇人内野手(28)が世界一奪還への“秘密兵器”を持ち込んだ。宮崎での合同自主トレ初日の28日、練習用に新調した長さ約90センチの長尺バットでティー打撃を行った。今月中旬までの米グアム自主トレには1本持参していたが、3月開幕の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)をにらんで新たに2本追加した。試合用より約4センチも長いバットを振り込み、外国人投手に力負けしないパワーをつける。

 透明のビニールにくるまれた真新しいバット2本を手に、坂本勇が練習場に姿を見せた。根元が黒色の配色は試合用とまったく同じ。だが長さが約4センチも長い90センチもある、特注の練習用バットだった。この日最後のメニューとなった室内練習場での打撃練習では、新バットで入念にティー打撃を繰り返した。「初日からいい練習ができました」と、声を弾ませて引き揚げた。

 パワーアップが狙いだ。首位打者を獲得した昨季の試合前練習では「体を大きく使って強く振るため」(坂本勇)に、ノックバットでロングティーを行っていた。バットが長くなるほど遠心力は働き、振り抜くにはより力が必要となる。軽いノックバットで遠くに飛ばす感覚を身につけつつ、下半身を使ったよりパワフルなスイングを模索した。

 WBCを見据え、効率アップを図った。海外の好投手の重い球をはじき返すためには、さらに長打力をつけるのが必要不可欠になる。坂本勇は今オフのメインテーマを「打撃。継続的にバットを振ること」と設定。SSK担当者に依頼し、グリップの形状などが試合用と同じで、長さがノックバットに近い特注バットを作製した。米グアムでの自主トレで感触を確かめ、この日からの合同自主トレに備え新たに2本を新調。球数を多く打てるティー打撃で長尺バットを使い、ミート力にパワーを加える考えだ。

 WBCでは、攻守で侍ジャパンのキーマンとなる。意気込みを聞かれても、常に「100%で(本番に)行けるようにやるだけです」と大ごとは言わない。だが“秘密兵器”で万全の備えをするなど主力の自覚は十分だ。練習のためだけにこしらえた“物干しざおバット”でパワーアップした坂本勇が、世界の猛者どもを釣りあげる。【浜本卓也】

<主な長尺バット使い手>

 ◆藤村富美男(阪神) 「物干しざお」と呼ばれる約94センチのバットを使用して本塁打を量産した。初代「ミスタータイガース」と親しまれた。

 ◆タイロン・ウッズ(横浜、中日) 約89センチのバットで特大アーチを連発し、「ミスター場外」との異名を取った。本塁打王を3度も獲得した。

 ◆高橋由伸(巨人) 小学6年生の時から長さ3メートルの青竹で素振りをし、下半身を強化した。巨人の監督就任後には、キャンプでの練習にも取り入れた。