今年もエースが団体を引っ張る。東京女子プロレスのプリンセス・オブ・プリンセス王者・山下実優(28)は、新年最初の興行となる、4日後楽園大会で、3度目の防衛戦を行う。迎え撃つのは今、米国で最も人気のある女子レスラー、マーシャ・スラモビッチ(25)。昨年12月に伊藤麻希とのタッグで対戦した際には最後決めにいったSkull kickをかわされ、痛恨の逆転負け。それでも「いい試合ができた。負けたこと以外は納得している」と前哨戦に手応えを感じているエースがいい形で24年のスタートを切る。

東京女子プロレス 1月4日後楽園大会でプリンセス・オブ・プリンセス3度目の防衛戦に臨む山下実優(撮影・松熊洋介)
東京女子プロレス 1月4日後楽園大会でプリンセス・オブ・プリンセス3度目の防衛戦に臨む山下実優(撮影・松熊洋介)

昨年12月に10周年を迎えた東京女子。立ち上げから中心選手として活躍する山下は数年前から海外の試合にも出場。「力負けしないようになった」と実力をつけ、今では海外選手からも挑戦を受けるまでになった。「王者としてできることもある。ベルトの価値を高めるためにいろいろ挑戦していきたい」とさらなる飛躍を見据える。

「東京女子は最高の団体」と話すだけあって、常に自分だけでなく、団体のことも考え、発信、行動してきた。自信の発言の裏には若手選手の意識の変化があった。数年前までは、辰巳リカや中島翔子ら初期メンバーに遠慮する姿があったという。若いころから空手を習っていたこともあり、闘争心は「自然に生まれるもの」とあえて指導はしなかった。「これまでは先輩だから(負けても)仕方ないって思っていたんじゃないかと。今は油断していたら危ないって思うような闘志を感じる。正直ようやく勝負できるようになった」。遠藤有栖、渡辺未詩ら若手の成長が、レベルの底上げにつながっていると感じている。

蹴りを見舞う山下実優(2022年6月撮影)
蹴りを見舞う山下実優(2022年6月撮影)

11年目を迎え、自身も団体も「変わっていきたい」と話す。昨年末、新日本プロレスのエース棚橋弘至が社長に就任した。「選手側からも含めて客観視できる。経営とかの部分は中でうまく分担して連係できればいいのかな」。身近にはCyberFight高木三四郎社長もいる。「現場も含めてアイデアマン。長くやっていてすごいと思う」と語った。

中学卒業後からアルバイトなどで大人と接する機会が多く「冷静に見ていた」という山下。現在ではエースで団体を引っ張っているようにも感じるが、実はリーダー肌ではないという。常に冷静に判断し、的確に自分の言葉で発言する印象だが「あまり(下に対して)言うタイプではない。自分は横で支えながら意見を言う右腕的な存在がいい」と将来の“社長”はやんわり否定。それでも常に周囲のことを考え、行動する姿勢は若手選手の信頼も厚く、お手本となっている。

1月4日後楽園大会も9年目を迎える。「新年1発目は特別。負けたらまた取り返しに行けばいいけど、まあ負けないんで」。以前から「安定や普通が好きじゃない」と話す山下の24年はどうなるのか。ベルトと団体の未来に向け最初の大一番に挑む。【松熊洋介】

顔面にひざ蹴りを入れる山下(2021年6月撮影)
顔面にひざ蹴りを入れる山下(2021年6月撮影)