これも巡り合わせか。宇良が居反りを決めた5日目、元小結智ノ花の玉垣親方(56=友綱)は、ちょうど土俵下で審判を務めていた。「いつか決めるとは思っていましたが…縁があるんでしょうね」。居反りが十両以上で出たのは宇良で4回目。直近の93年初場所の花ノ国戦で決めたのが、同親方だった。赤房下の位置から、宇良がのけ反る瞬間を正面から見ていたが「決まった瞬間はたすき反りかなと。決まり手が発表されて『おっ』となりました」。
意識はわずかながら、宇良よりも相手の旭秀鵬に向いていたという。「うちの(友綱)部屋の力士だったので。(居反りがあると)警戒しなきゃいけないのに、なんで決められるかな(笑い)。でもお客さんが盛り上がることはいいことですね」。
アマチュア時代から居反りに注目が集まっていた宇良。十両以上で最後にその珍手を決めた力士として、玉垣親方も取材を受ける機会が多かっただけに、宇良の復活がうれしかった。「お手本になるべき力士ですよ。今後はけがしないように、ときにはああいう変則的な相撲で盛り上げてほしいですね」。【佐藤礼征】